車中の時計は午後十時少し前を指していた。
二人共、このまま帰る気にもなれずにいた。
「ひと休みするかい?」
「そうね、時間も早いし」
「あの時の僕は、とに角若かった。
愛しているが為に、君に満足な生活を与えようとしすぎた。
経済的ゆとりにこだわり続けたようだ。
それが為に、君を待たせ続けてしまった。
君にとっては、不安な日々を送らせてしまった。
悪かったと、思っているよ」
「いいえ、私も悪かったのよ。
そんな貴方の気持ちに気づいていれば」
そっと握られた手に、夫には感じられない熱いものを、麗子は感じた。
愛情の表現を、物品でしかできない夫に感謝しつつも、不満が残った。
仕事の激務さと年齢的なものもあるのだろうが、性生活は満足できるものではなかった。
淡泊な性格であることも麗子には不満だった。
結婚当初こそ麗子に応える夫だったが、半年と経たぬうちにベッドを別にすることになった。
夫の統括する繊維部門が積極策をとることになり、海外メーカーとの合弁会社設立交渉が始まることになった。
勢い海外出張が増え、一人の夜を悶々と過ごすことになった。
先日のことだ。
思いもかけぬ言葉が、夫の口から聞かされた。
「わたしも、五十半ばになった。
麗子はまだ、三十路に入ったばかりだ。
性生活において不満を感じていることは知っている」
「わたしはそんな」という麗子の言葉を遮って、
「いいんだ、当たり前のことだ。そこでだ、海外出張中ならば、外泊をしても構わない。
実家に帰るも良し、お友だちとの旅行も良し、好きにして構わないから」と、告げた。
言外に、浮気をしても良いと告げていた。
但し、私が国内に居るときは私だけの麗子でいてくれ、と添えられた。
二人共、このまま帰る気にもなれずにいた。
「ひと休みするかい?」
「そうね、時間も早いし」
「あの時の僕は、とに角若かった。
愛しているが為に、君に満足な生活を与えようとしすぎた。
経済的ゆとりにこだわり続けたようだ。
それが為に、君を待たせ続けてしまった。
君にとっては、不安な日々を送らせてしまった。
悪かったと、思っているよ」
「いいえ、私も悪かったのよ。
そんな貴方の気持ちに気づいていれば」
そっと握られた手に、夫には感じられない熱いものを、麗子は感じた。
愛情の表現を、物品でしかできない夫に感謝しつつも、不満が残った。
仕事の激務さと年齢的なものもあるのだろうが、性生活は満足できるものではなかった。
淡泊な性格であることも麗子には不満だった。
結婚当初こそ麗子に応える夫だったが、半年と経たぬうちにベッドを別にすることになった。
夫の統括する繊維部門が積極策をとることになり、海外メーカーとの合弁会社設立交渉が始まることになった。
勢い海外出張が増え、一人の夜を悶々と過ごすことになった。
先日のことだ。
思いもかけぬ言葉が、夫の口から聞かされた。
「わたしも、五十半ばになった。
麗子はまだ、三十路に入ったばかりだ。
性生活において不満を感じていることは知っている」
「わたしはそんな」という麗子の言葉を遮って、
「いいんだ、当たり前のことだ。そこでだ、海外出張中ならば、外泊をしても構わない。
実家に帰るも良し、お友だちとの旅行も良し、好きにして構わないから」と、告げた。
言外に、浮気をしても良いと告げていた。
但し、私が国内に居るときは私だけの麗子でいてくれ、と添えられた。
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