13日(月).昨日サントリーホール(小ホール=ブルー・ローズ)でパシフィカ・カルテット・ベートーベン・マラソンを聴きました
これはサントリー・ホールの主催で,アメリカの弦楽四重奏団「パシフィカ・カルテット」が6月10日から12日までの3日間,ベートーベンの弦楽四重奏曲・全16曲を5回に分けて演奏するという企画です.昨日は最後の4回目と5回目のコンサートでした.座席は午前が7列6番,午後が9列7番でいずれも通路側です.
プログラムは午前11時から①第2番ト長調②第7番ヘ長調”ラズモフスキー第1番”③第14番嬰ハ短調の3曲,午後3時半から①第4番ハ短調②第10番変ホ長調”ハープ”③第15番イ短調の3曲です.各回のプログラムはベートーベンの弦楽四重奏曲を1番から順番に演奏するのではなく,初期,中期,後期からそれぞれ1曲ずつを選んで演奏する構成になっています
メンバーは第1バイオリンが女性のシミン・ガナートラ,第2バイオリンがシッビ・バーンハートソン,ビオラがマスミ・パーロスタード,チェロがブランドン・ベイモス(以上男性).
最初の第2番の演奏を聴いて感じたのは,このカルテットは第1バイオリンの表情,弾きぶりを良く見ながら他のメンバーがフォローする姿勢が鮮明であるということです.4人が対等の立場で演奏するというよりも,第1バイオリンの女王を他の兵隊たちが盛り立てるというスタイルです.ビオラのバーロスタードが異常に高い椅子で,ほとんど中腰スタイルで演奏していたのも,対向の位置にいる第1バイオリンを譜面越しに良く見るためだったと解釈できます
午前の部では第7番の「ラズモフスキー第1番」がポピュラーなこともあり,好きな曲です.評論家の小林秀雄があるエッセーで,銀座のレコード屋に行って「ラズモフスキーをくれ」と言うと,店員が「何番にしましょうか?」と訊くので「全部くれ」と答えるというシーンがありました.あのエッセーはどこで見たのか思い出せません.英雄交響曲のような勇壮な曲想で始まります
午後の部で好きなのは第4番です.この曲はモーツアルトの短調の交響曲やピアノ協奏曲に通じる劇的なメロディーが展開します.ベートーベン版”疾走する哀しみ”とでも言ったらいいのでしょうか.
最後の第15番を演奏するにあたり,第2バイオリンのバーンハートソンがマイクを持って現れあいさつしました.
「3月11日の大震災の被災に対し心からお見舞い申し上げる.この惨事にもかかわらず,困難に立ち向かう日本の方々に敬意を表する.今回,生涯でたった1回のチャンスであろう,3日間でベートーベンの弦楽四重奏曲全16曲を演奏する機会を与えてくれたサントリーホールに感謝の言葉を述べたい
これから演奏する第15番ほど今の日本に相応しい曲はないと思う.ベートーベンは様々な苦しみを経験し
,それを乗り越えてきた.この曲の第3楽章は「癒えた者の神への聖なる感謝の歌」,「新しい力を感じて」と記されている.これらが交互に現れる二重変奏になっている.演奏からそうしたことを感じ取っていただけたら嬉しい
その第3楽章は平穏に満ちた”感謝と祈り”の曲でした.彼らは心を込めて切々と奏でていました.
今回,1日で6曲のベートーベンの弦楽四重奏曲を一つのカルテットによって聴いたわけですが,”ベートーベンって,やっぱりいいな
”と思いました.今回あらためて発見したのはアダージョ楽章の美しさです
.ベートーベンはこんなにも美しい曲を弦楽だけで書いていたのか・・・・と再発見した想いです.パシフィカ・カルテットは名前も知りませんでしたが,チラシを見たとき”これはいい演奏が期待できるぞ”というカンがありました.その”第六感”は当たったようです.
そういえば,午後の部が始まってすぐ,私の前の席のおっさんが,曲に合わせて頭を左右に揺らすので”うざいなぁ”と思っていたのですが,休憩時間に前に行って顔を見るとチェリストでサントリーホールの支配人・堤剛さんでした
堤さん,スイングしたい気持ちはわかりますが,後ろの席の人が迷惑するのでやめてください.揺らすのは休憩時間に飲むワインだけにしてください,サントリーのでいいですから
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プログラムは午前11時から①第2番ト長調②第7番ヘ長調”ラズモフスキー第1番”③第14番嬰ハ短調の3曲,午後3時半から①第4番ハ短調②第10番変ホ長調”ハープ”③第15番イ短調の3曲です.各回のプログラムはベートーベンの弦楽四重奏曲を1番から順番に演奏するのではなく,初期,中期,後期からそれぞれ1曲ずつを選んで演奏する構成になっています
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メンバーは第1バイオリンが女性のシミン・ガナートラ,第2バイオリンがシッビ・バーンハートソン,ビオラがマスミ・パーロスタード,チェロがブランドン・ベイモス(以上男性).
最初の第2番の演奏を聴いて感じたのは,このカルテットは第1バイオリンの表情,弾きぶりを良く見ながら他のメンバーがフォローする姿勢が鮮明であるということです.4人が対等の立場で演奏するというよりも,第1バイオリンの女王を他の兵隊たちが盛り立てるというスタイルです.ビオラのバーロスタードが異常に高い椅子で,ほとんど中腰スタイルで演奏していたのも,対向の位置にいる第1バイオリンを譜面越しに良く見るためだったと解釈できます
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午前の部では第7番の「ラズモフスキー第1番」がポピュラーなこともあり,好きな曲です.評論家の小林秀雄があるエッセーで,銀座のレコード屋に行って「ラズモフスキーをくれ」と言うと,店員が「何番にしましょうか?」と訊くので「全部くれ」と答えるというシーンがありました.あのエッセーはどこで見たのか思い出せません.英雄交響曲のような勇壮な曲想で始まります
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午後の部で好きなのは第4番です.この曲はモーツアルトの短調の交響曲やピアノ協奏曲に通じる劇的なメロディーが展開します.ベートーベン版”疾走する哀しみ”とでも言ったらいいのでしょうか.
最後の第15番を演奏するにあたり,第2バイオリンのバーンハートソンがマイクを持って現れあいさつしました.
「3月11日の大震災の被災に対し心からお見舞い申し上げる.この惨事にもかかわらず,困難に立ち向かう日本の方々に敬意を表する.今回,生涯でたった1回のチャンスであろう,3日間でベートーベンの弦楽四重奏曲全16曲を演奏する機会を与えてくれたサントリーホールに感謝の言葉を述べたい
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その第3楽章は平穏に満ちた”感謝と祈り”の曲でした.彼らは心を込めて切々と奏でていました.
今回,1日で6曲のベートーベンの弦楽四重奏曲を一つのカルテットによって聴いたわけですが,”ベートーベンって,やっぱりいいな
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