人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

ハーディング=新日本フィルのマーラー「第5交響曲」を聴く

2011年06月22日 06時58分21秒 | 日記
22日(水).昨夕サントリー・ホールで新日本フィルのコンサートがありました.3月11日の大震災の影響で中止になった翌12日の代替公演です.プログラムはマーラーの「交響曲第5番」.いつもは錦糸町のすみだトリフォニー・ホールで聴いているので,会場を間違えないようにチケットを手帳に挟んでおきました

サントリー・ホールでコンサートがある時は大抵,溜池の飲食チェーン店Nで食事をして,ホール近くの喫茶店Dでコーヒーを飲んでから会場に向かうのが習慣になっています.6時10分頃,いつものように「N」で食券を買って空いた席を見回すと,何とすぐ近くに新日本フィルのコンサート・マスター崔文殊さんが座って食事をしているではありませんか バイオリンこそ持っていませんでしたが,葉加瀬太郎似の茶色のアフロ・ヘアは間違いようがありません.コンサート開始が午後7時15分ですから,ほぼ1時間前です.なにげに隣の隣の席に座りました.演奏家は1時間前には腹ごしらえを済ませておくのだなと一人納得しました.彼は店を出るとき「ごちそうさま」と店員に声を掛けていました.なかなか好感がもてる人です.

代替公演ということ,また,会場も違うということで,いつもと違う席が用意されていました.1階15列16番=1階席の後方中央ブロックの最前列通路側で,前から定期会員ならこの席がベストだと思っていた席です.ちなみに東京交響楽団の定期会員としての指定席はこの3列後ろの席です.

オーケストラの配置は,指揮者ダニエル・ハーディングの指示によりバイオリンを左右に分ける対向配置で,コントラバスが向かって左奥に位置しています.主席奏者を端から見ていくと一人だけいつもと違う人が第2バイオリンのトップに座っています.どこかで見たことがあると思って,プログラムに挟み込まれた出演者配置図を見ると★遠藤香奈子とありました.「★印=本日の客演奏者」とあります.遠藤香奈子と言えば東京都交響楽団の第2バイオリン首席奏者です.定期公演の代替公演ということで,第2バイオリンの主席・吉村知子が出演出来なくなり,急きょ他のオーケストラから主席を”借りてきた”といったところでしょうか 都響一の美人奏者で”エンカナ”の愛称で呼ばれているようです.この人がいるから都響の会員になっている人もいるかも知れませんね

最初に「東日本大震災で亡くなった多くの方々へ捧げる」として,エルガーの「エニグマ(謎)」から第9変奏「ニムロッド」(約4分)が演奏されました.悲しみを癒すような静かで感動的な曲でした

あらためて登場したハーディングが指揮台に上がり,しばらく下をうつむいていると,トランペットのファンファーレが会場に響き渡りました 指揮者と演奏者の阿吽の呼吸でしょう.第1楽章の開始です.映画「マーラー」を監督したケン・ラッセルは,この曲を「葬送音楽と結婚行進曲が混じりあった音楽.またの名を精神分裂症」と称しました.なかなかうまいことを言います

第1楽章の終わりの部分で指揮者とオケとの間に微妙なズレを感じましたが,第2楽章「嵐のように激しく」を経て,第3楽章「スケルツォ」,そして第4楽章「アダージェット」と進むにつれて演奏が安定してきたように思います.そして第5楽章フィナーレで,それまで鬱積していたものが一気に爆発して明るい世界が開けたように思います 「アダージェット」といえばビスコンティの映画「ベニスに死す」でテーマ音楽のように使われた有名な曲.甘美で熱情的なメロディーです.今週末のファーマシーのパーティーで流すBGMの候補曲の一つに考えています.

ハーディングはイギリス出身ということもあってか,演奏に熱くなるというより,いつもクールな部分がある,というか,どこか冷めたところがあるように思います.そこが,チョン・ミュンフンと違うところです.チョン・ミュンフンは常に熱いものを内に秘めながら,それを最小限の力で外に向けて最大限に爆発させる,といったところがあるように思います.

チョン・ミュンフンは50代後半,まさに円熟期.ハーディングは36歳,まだまだこれから,といったところ.どちらのマーラーも,これからも楽しみにして聴きたいと思います

【プログラムは3月の時のものが配布されました】










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