人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

「教授のおかしな妄想殺人」「ヤング・アダルト・ニューヨーク」を観る~クラシック音楽もふんだんに使われている映画

2016年12月06日 08時00分28秒 | 日記

6日(火).昨日の日経朝刊 文化面に「回顧 2016 音楽」が載りました 毎年楽しみにしているコラムですが,もうそういう時期になったかと感慨深いものがあります 見出しが「ワーグナーオペラで力演」となっているように,今年はオペラの部門でワーグナーの作品に高水準の上演が多かったように思います 記事にあるように,シュターツカペレ・ドレスデンが「ラインの黄金」を,ウィーン国立歌劇場と新国立劇場が「ワルキューレ」を,東京・春・音楽祭でN響が「ジークフリート」を上演し,それぞれ大きな話題を浴びました 私はウィーン国立歌劇場を除く3公演を聴きましたが,言われている通り揃って水準の高い公演でした

また,記事にあるように,今年は在京オケのトップ指揮者の就任が相次ぎました 新日本フィルは音楽監督に上岡敏之が,日本フィルは首席指揮者にインキネンが,東京フィルは首席指揮者にバッティストーニが,それぞれ就任し話題を呼びました

また 記事は 中村紘子,ピエール・ブーレーズ,ニコラス・アーノンクールの訃報にも触れています 今年もいろいろありましたね ということで,わが家に来てから今日で798日目を迎え,トランプ次期米大統領が 中国が南シナ海に人工島を造成し軍事複合施設を建設していることを批判した というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

          

                             米中問題はトランプの言う通りだけど 日中問題は「日中寒いね」くらいか?

 

  閑話休題  

 

昨日,夕食に「豚肉の甘酢ねぎごまだれ」と「生野菜とサーモンのサラダ」を作りました 娘が「豚肉の~」について「これ この前作ったのと同じメニューだよね?」と言うので,「そうですけど,何か?」と答えておきました

 

          

 

  も一度,閑話休題  

 

昨日,早稲田松竹で「教授のおかしな妄想殺人」と「ヤング・アダルト・ニューヨーク」の2本立て映画を観ました 

「教授のおかしな妄想殺人」はウディ・アレン監督による2015年 アメリカ映画(95分)です

 

          

 

「人生は無意味である」という考えに囚われ,仕事にも恋愛にも身が入らなくなった哲学教授エイブ(ホアキン・フェニックス)がアメリカ東部の大学に赴任してきた そんな彼をミステリアスで刺激的な男と勘違いして恋心を抱く女子大生ジル(エマ・ストーン)は,恋人がいるのに彼にも興味津々の様子 ある日,たまたま悪徳検事の噂を耳にしたエイブは,その瞬間とんでもない妄想を抱く.それは”世のため人のため”に その悪徳検事を完全犯罪によって抹殺することだった エイブは検事の行動パターンを把握し,ジュースに青酸カリを入れて毒殺することに成功する.それがキッカケになり,彼はバイタリティを取り戻しジルに迫る.しかし,世の中そうはうまくいかなかった ジルに問い詰められ,自首を求められたエイブは一大決心をする

 

          

 

生きる意味を問う哲学の教授が,”世のため人のため”という大義名分を掲げて,殺人に生きる意味を見出すというのは いかにもウディ・アレンらしい皮肉に満ちたストーリーだと思います

ウディ・アレン監督の映画をよく観るのは,必ずと言ってよいほどクラシック音楽を使うからです この映画ではバッハの音楽が使われていました ジルがピアノの先生に習っていた曲はJ.S.バッハの「プレリュードとフーガ」でした また,大学のキャンパスらしき所で女子学生が弾いていたのは無伴奏チェロ組曲第1番の「プレリュード」でした バッハはBACHと書いてバックと読みますが,すべての音楽のバックボーンです

 

  最後の,閑話休題  

 

2本目の「ヤング・アダルト・ニューヨーク」はノア・バームバック監督による2014年 アメリカ映画(97分)です

 

          

 

ジョシュ(ベン・スティラー)とコーネリア(ナオミ・ワッツ)は40代前半の夫婦.ジョシュはドキュメンタリー映画の監督をしているが8年も新作を完成させておらず,アートスクールの講師をして生計を立てている 二人には子供がいないこともあり,何かが物足りない気持ちを抱いたまま過ごしていた そんな時,20代のカップル,ジェイミーとダービーと知り合いになり,映画を撮りたいという彼らの手助けをすることになる.若い二人に刺激を受け,ジョシュとコーネリアもまだまだイケてると思いエネルギーを取り戻していく コーネリアは映画の巨匠監督の娘だが,ジョシュと巨匠とはウマが合っていなかった ジョシュとコーネリアはジェイミーの映画作りに巻き込まれていくうちに,彼の本当の目的が,自分たちを利用して巨匠とコネを作り映画界でのし上がっていくことだということに気が付く

 

          

 

興味深かったのは,ドキュメンタリー映画を撮ると言っても,20代の若いジェイミーは多少は事実を曲げて”やらせ”をやっても良いと考えているのに対して,40代のジョシュは”ドキュメンタリーには一切ウソがあってはならない”という主義主張を崩していないところです もっとも これは世代の問題というよりも,ドキュメンタリー映画製作に対する こだわりのプロ と 何でも合理的に考えがちな経験の浅いセミプロの”姿勢”の違いと言えるかもしれませんが

この映画では,モーツアルトのピアノ協奏曲(何番かは不明)の他,ヴィヴァルディの音楽がふんだんに使われていました 主にヴァイオリン協奏曲のアレグロ楽章が使われていましたが,いちばん印象に残ったのはヴィヴァルディの「マンドリン協奏曲ハ長調」の第1楽章「アレグロ」です この曲は,1979年 ロバート・ベントン監督,ダスティン・ホフマンとメリル・ストリープ共演の映画「クレイマークレイマー」のテーマ・ミュージックのように使われていた音楽です 悲しい物語なのに明るく弾むような音楽だったので強く印象に残っています もちろん,バームバック監督はそうした事実を知った上でこの音楽を使っていると思います

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