20日(火).吉田秀和氏亡き後,朝日の年末「回顧 クラシック」を担うのは朝日 編集委員・吉田純子さんです 昨日の朝日夕刊に「回顧2016クラシック」が載りました.まず最初に彼女が選んだのは「既存の型を壊し,聴衆との接点を模索する挑戦がオペラ界で相次いだ」として挙げたクリスティによるバロックから古典までの作曲家のアリアを集めた公演です 次いで,北とぴあ国際音楽祭「ドン・ジョバン二」を挙げています ピアニストとして挙げたのは小菅優,プレトニョフ,野平一郎,ポゴレリッチ,ホロディンコです.指揮者+オケでは,ヤンソンス+バイエルン放送響,ブロムシュテット+バンベルク響,ノット+東京交響楽団,ラザレフ+日本フィルです 紙面のスペースの大小の違いもありますが,先に発表された日経の「回顧」がワーグナーのオペラに重点を置いていたのに対し,ワーグナーの「ワ」の字もなく,幅広いジャンルを紹介しているのが特徴です
ということで,わが家に来てから今日で812日目を迎え,沖縄県名護市沿岸で米軍輸送機オスプレイが着水を試み大破した事故で,米海兵隊が19日,事故以来やめていたオスプレイの飛行を全面再開すると発表した というニュースを見て感想を述べるモコタロです
オスプレイはプレイ・ボタンを押すと動くって?
プレイって言ったって遊びじゃないんだからさ!
閑話休題
昨日,夕食に「豚こま生姜焼き」と「生野菜とアボガドのサラダ」を作りました 「豚こま~」は玉ねぎを使います
も一度,閑話休題
昨日,池袋の新文芸坐で「セルフレス 覚醒した記憶」と「ハイ・ライズ」の2本立てを観ました
「セルフレス」は,ターセム・シン監督による2015年アメリカ映画(117分)です
68歳の大富豪の建築家ダミアン・ヘイルは余命半年と宣告されたが,一人娘のクレアとの仲を修復できないまま死を迎える瀬戸際に立たされていた そんな彼に,天才科学者オルブライトは,遺伝子操作で造った若い肉体へダミアンの頭脳を転送することを持ちかける 莫大な料金と引き換えに新しい肉体を手に入れたダミアンだったが,その肉体は遺伝子操作で造られたものではなく,妻子ある特殊部隊の軍人マークの肉体であることが分かる 真実を知ったダミアンは,フラッシュバックで現れた脳の中の残像をもとにマークの妻の行方を突き止める.ところが,秘密が外部に漏れては困るオルブライトの秘密組織に命を狙われる羽目に陥る
この映画を観ていて思ったのは,遺伝子操作であるにしても他の方法にしても,数年後 あるいは数十年後はあり得ない話ではないな,ということです 生体医学はどこまで”進歩”するのだろうか,と
ダミアンは他人の肉体を借りて一人娘のクレアに会い,自分の本当の気持ちを表した手紙を届けることができ,マークの妻子の命も救うことが出来て,めでたしめでたしと思っていたら,最後の最後にどんでん返しがあり「あれ~,どうなってんの?」と唸ってしまいました 見ごたえのあるSFアクションでした
最後の,閑話休題
「ハイ・ライズ」はベン・クィートリー監督による2015年イギリス映画(119分)です
舞台は1975年のイギリス.ロンドン郊外の富裕層向けタワーマンションは,タワー内にスーパーマーケット,プールをはじめ あらゆる設備が揃った理想的な居住空間だった 医師のラングは単身で25階に引っ越してきた.入居者たちは俳優,モデル,アーティスト,TVプロデューサーなど,一流のセレブばかりで,毎晩のように派手なパーティーを開いて,自分たちの成功に酔いしれ人生を謳歌していた ラングもいつしかこの狂乱のパーティーの参加者となっていく.ある時ラングは,ワイルダーという住民と出会い,フロアの高低に基づく階級間格差があることを知る.そして,ある日突然起こった停電を境に,住民たちの不満・怒りが爆発する
観ていて感じたのは,アメリカだったらこういう映画は作らないだろう,いかにも階級社会のイギリスらしいな,ということです 内容は全体的に面白いというよりも かなり過激です.心して観た方がよいと思います
驚いたのは,映画の冒頭,LPレコードに針が落とされるシーンが映し出されるのですが,流れて来たのはJ.S.バッハの「ブランデンブルク協奏曲第4番BWV1049」の第1楽章「アレグロ」だったのです フルートにより あまりにも明るく希望に満ちた音楽が流れてきたので,どんなに楽しい映画が始まるのだろう,と期待を抱かせます しかし,内容は 前述のとおり期待に反して過激そのものです.映画の最後にもう一度同じメロディーが流れますが,「セレブの人生なんてこんなもの」とおちょくっているかのようです