子供でも分かる山崎努の狂気

 先日‘本当に怖いものは・・・・’という話を息子達としていた時に おもむろに
私が‘どんな異形の者より本当に怖いのは人間’と言うと当然ながら‘?’
状態だったので、証拠として某動画サイトで八つ墓村の多治見要蔵が村人
32人虐殺するシーンを見せたのだ。

 特に77年松竹版の山崎努が演じた多治見要蔵は凄まじく、芥川也寸志の
BGMをバックに桜吹雪の中を頭に2本の懐中電灯をくくりつけ左手に猟銃・
右手に日本刀の抜き身を持って走り村人を次々と殺戮していくシーンは今見
ても恐ろしい。

 当然ながら息子達も‘怖ぇ~’と驚愕していたが・・・・

 特に囲炉裏端で泣いている赤ん坊を刺し殺すは、命乞いをしているバァさんの
首根っこを捕まえて井戸に落とし込んだだけで飽き足らず銃撃するという狂気は
抜群だ。

 山崎努以外にもTV版で中村敦夫が、市川昆版で岸部一徳が要蔵を演じて
いるものの、やはり山崎努の恐ろしさは群を抜いている。

 こういう狂気溢れるキャラクターというのは下手な役者が演じると陳腐なものに
成り下がるので かなりの演技力を要求される。
 
 そういう意味では山崎努の演技力は素晴らしいものがあるので多治見要蔵の
キャラが定着したのだが、困るのが それ以外の作品だ。

 八つ墓村は人気作品なので何度もリメイクされジョニー大倉や平幹二朗に吹越
満らが演じているし、中村敦夫や平幹二朗らも名優なのだが山崎努の要蔵と比べ
ると1ランク落ちてしまう。

 確かに野村芳太郎の演出や芥川也寸志のBGMによるところもあるのだろうが、
こういうところに役者の演技力が出るというのを痛感するものだ。

 ちなみに親として息子達に こういうシーンを見せていいものかと迷うものがあった
が‘この多治見要蔵は子供の頃から甘やかされて我がままに育ったからガマンしき
れずにこうなった’と教えたのは言うまでもない。


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