怪獣映画の初代悪役・ジェリー伊藤氏死去

 今日の新聞によると俳優のジェリー伊藤氏が亡くなったと
いう記事が目に付いた。
 ジェリー伊藤といえば61年のモスラで悪徳興行師のクラー
ク・ネルソンを演じた俳優だ。
 特撮怪獣ものでは他には同年に公開された世界大戦争ぐら
いしか出演していないにもかかわらず、モスラでのネルソン
役のインパクトはかなりあった。
 というのもクラーク・ネルソンこそが、怪獣映画における
最初の悪役だからだ。
 
 ゴジラから始まる怪獣映画では、ゴジラ・アンギラス・ラ
ドン・バランといずれも大自然の脅威の象徴で、人間達が い
かに立ち向かうかが見どころであった。
 悪人といえば、ゴジラの逆襲で大阪湾に接近したゴジラを
照明弾で湾外におびき出すべく灯火管制が敷かれている中で
護送車に乗った囚人達が、脱走を試みて失敗し事故で火事を
起してしまいそれでゴジラが大阪に上陸してしまうのだ。
 つまり悪人は基本的に登場しない。

 ところが61年のモスラはそうはいかない。
 ザ・ピーナツ演じる双子の小美人を拉致して、東京で‘妖精
ショー’という形で見世物にする興行師がネルソンだ。
 この双子の小美人を取り戻すためにやってくるのがモスラ
なのだ。
 
 最終的にネルソンは小美人を連れて母国のロリシカ(アメリ
カの事)に帰国するが、モスラは成虫になって逃亡先のニュー
カークシティ(ニューヨーク)まで追いかけてくる。
 対空兵器も歯が立たないため、モスラの脅威から街を守るべ
く小美人の返還を要求されるが、ネルソンは拒否して逃亡しよ
うとするものの、最後は警官に抵抗して射殺される。
 
 以後はモスラ対ゴジラでは、佐原健二と田島義文演じる悪徳
興行師が再び登場して漂着したモスラの卵を買取り孵化させる
さまを見世物にしようとするが、ネルソンほどの悪辣さはない。
 
 やはりそれだけネルソンを演じたジェリー伊藤氏の演技力は
素晴らしかったという事だろう。

 ご冥福をお祈りします。
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