検証！北京五輪・格闘技偏

　まずは柔道。
　男子は内柴正人と石井慧の金2個のみ。
　女子は谷本歩美と上野雅恵の金2個に、塚田真希の銀1に谷亮子と中村
美里の銅2個。

　男子は昨年の世界選手権で五輪実施階級では73㌔級の金丸が銅1個、
それもQファイナル敗退で敗者復活戦を勝ってのもの。
　つまりファイナリストが1人もいなかったわけで、組み合わせ次第で金3個
ぐらいから0の可能性もあった。
　カギを握ると言われたのが60㌔級の平岡拓晃‘組み合わせにも恵まれた
のでメダルぐらいは’と思われたが初戦で無名選手に指導1つを取られて
敗れ敗者復活戦にも回れず。

　2日目の66㌔級の内柴が金を取ったから助かったが以後もメダルにすら
届かず、特に90㌔級の泉と100㌔級の鈴木までがメダル獲得に失敗して
いる。

　最終日に最も欲しい100㌔超で石井が金を獲得したので救われたが、
せめて金をもう1つに銅メダルでもいいから2つばかり取らないといけ
なかった。

　とはいえ今回の金獲得は日本以外は韓国・アゼルバイジャン・ドイツ・
グルジア・モンゴルと各国1個づつ。
　メダルを取った国は19カ国に分散される事になっている。

　女子は初日の谷亮子が まさかの銅に終わったものの、谷本と上野の
前回金メダリスト組が連覇して事なきを得た。
　女子も前年の世界選手権では谷の金1個だっただけに2個獲得＋銀1に
銅2は合格ラインだろう。金を5個も取ったアテネができ過ぎだったのだ。

　57㌔級は泣きどころだし、52㌔級の中村と78㌔級の中沢は経験不足
での負け。
　女子の金2は中国の3に次ぐ数で他に金を取ったのは谷に勝ったルーマ
ニア・イタリアでメダルを取った国は14カ国。

　つまり世界中の国のレベルアップがめざましいのでメダルが分散傾向に
ある。
　ただ日本は金を4個獲得したが、フランスは銀2・銅2と金が取れず中国と
並ぶ女子王国だったキューバも銀3・銅3と こちらも金に届いてないのに
注目して欲しい。

　レスリング

　グレコローマンは60㌔級の笹本睦が2回戦で宿敵のナザリアンに敗れ
3位決定戦にも回れなかった時点でメダル無しは確定。
　残る2階級は84㌔級と96㌔級だから日本人には厳しいと思われたが、
いずれも初戦で敗れて笹本の1勝のみに終わった。

　フリーもグレコ同様、枠を獲得したのは3階級のみ。
　ただし、わりあい何とかなりそうな55㌔級と60㌔級に66㌔級だからメダル
確保には希望が持てた。
　そして合間に行われた女子が全員メダル獲得した勢いか、55㌔の松永
がベスト8で天敵のマンスロフに勝って勢いに乗り、世界王者のクドゥホフ
にも勝ってメダルを確保。

　若手の60㌔級・湯元もSファイナルで敗れたが3位決定戦で快勝し、厳
しい組み合わせながら3人中2人がメダルを獲得。　アテネが銅2個だったが、今回は銀と銅が1個づつと僅かながら前進した。　

　かつては体操、柔道と共にメダルの宝庫だったレスリングも旧ソ連や旧
ユーゴ諸国が分離独立しているので、今回など7階級中3階級づつしか出場
権を確保できていない。
　というのもアジアは韓国や中国以外にもインドやイランなどの強豪国が
多かったし、ここにカザフスタンやウズベキスタン、アゼルバイジャンやタジ
キスタンなど旧ソ連の国々が参加しているのが原因だ。

　メダル獲得国はグレコで19、フリーで15カ国に広がっているのを見ても
柔道同様すそ野が広まっているので全盛期よりもメダル獲得が困難に
なっている感は否めない。

　にも拘わらず都知事の某は

‘女子は素晴らしいが、男子はだらしない’ と言っていたが、とん

でもない話である。

　ちなみに女子は前回と同じメンバーで前回と同じ成績だった。
　とはいえ4年前に比べて全体のレベルが数段上がってきた中で、4年前と
同じ成績だから評価されるべきだろう。
　吉田と浜口は4年後まで続行すると宣言しているが、浜口は正直言って
厳しいか。
　残るは伊調姉妹だが、4年後に浜口が代表になって伊調姉妹が現役続行
すれば3大会同じメンバーになる可能性が高い。

　これは、ある意味世代交代ができないという由々しき問題だ。