‘百聞は一見に如かず’を実感させるラグビードキュメント

　いよいよ今週末からラグビーW杯が始まるが、14日にBS-1で
OAされたBS1スペシャル・50年前日本ラグビーは世界に迫った
～伝説のイングランド戦」は素晴らしいドキュメントだった。

　大西鐡之祐監督率いる日本代表が71年に来日したイングランド
代表との試合を当時の映像と関係者の証言に加え、ニュージーラ
ンド取材までも交えて伝説の試合を徹底的に分析したもので日本
代表が屈強な大男と戦って勝つためのノウハウが改めて紹介され
ていた。

　ゲストとして大西ジャパンの主力だった坂田好弘や小笠原博に
横井章,水谷眞や今里良三に村田義弘だけでなく、対戦したイング
ランドのジェレミー・ジャニオンやロジャー・アトリーにNZオー
ルブラックスJrのロバート・バージェスまでがコメントをしている
のだから‘さすがNHK'というべきもの。

　実は花園で行われた大西ジャパン―イングランド戦はNumber
ビデオで90年代に発売され購入しているので映像を見る限り真新
しいものはなかったのだが、当時の選手達のコメントが入ってい
たり戦術の解説が入るなどの味付けが素晴らしいので新鮮な感じ
で見る事ができた。

　特筆すべきは71年のイングランド戦だけでなく68年にNZ遠征
しオールブラックスJrに勝った事までが触れられていた形で、イ
ングランド戦だけを切り取ったのではなくオールブラックスJrに
敵地で勝った事が伏線としてある事がしっかり紹介されているの
が嬉しい。

　日本人が好きな‘小よく大を制す’を‘展開・接近・連続’で体現し
ているのだが、展開はワイドに接近はオフロードパスなどで連続
はマルチ・フェイズとして当時の最先端が今でも採用されている
と藤島大氏や村上晃一氏らラグビーライター達も絶賛していた。

　また‘戦術に絶対はない、されど絶対を信じない者は敗北する’
という大西氏の金言も紹介されており本当に嬉しかった。

‘百聞は一見に如かず’とはよく言ったもので以前ジョー小泉氏が
‘いくらファイティン グ原田や海老原が凄かったと言っても若い
連中には年寄りの戯言 として話半分で処理されるのがオチだが、
こういった映像さえあれば昔を知らない連中にも知らしめる事が
できるのだから’とリングジャパンとしてファイティング原田や
海老原博幸の世界戦をビデオ化する時にコラムで語っていたのを
思い出す。

　やはりこういったドキュメントが作られる事で新たな世代に
受け継がれると思ったものだ。