オリンピックに野球は 似合わない?

　私の手元に8年前のSports Graphic Numerのシドニー五輪特集
号がある。
　このNumberは腕利きの名フリーライター達が集まって取材している
のでゴシップ新聞では まず書けない記事が多く重宝している。
　だから私のウンチクの半分以上はNumberからのネタである。

　ところでこのシドニー五輪の野球はプロ・アマ連合チームで挑んで4位に
終わっている。
　それについてのレポで阿部珠樹氏が
‘オリンピックに野球は似合わない?’という記事を書かれている。

 「シドニーの野球が真の世界一決定戦などでない事は、試合を見れば
明らか。
　野球における世界とはMLBの事に他ならないし、それが参加しない世界
一決定戦など代用品に過ぎない。
　日本球界はレベルアップと人気拡大を望むならMLBを戦いの場に引き
ずり出すべきだろう。
　そのためにはサッカー方式のW杯などが日米で検討されている。
　こうした構想を練りつつ日韓台のチャンピオンチームによる東アジア杯
のような大会で実績を積み上げ世界に広げるべき。
　少なくとも高い出演料を払って観光気分のMLBプレイヤー達を呼んで
日米決戦などやるより遥かに意義がある」

　抜粋しているが、このような記事が掲載されていた。

 　8年経ってサッカーW杯方式のWBCが始まり、アジアの4カ国のチャンピ
オンチームが集まってのアジア選手権が行われるようになった。
　そして今回の北京である。

　いろいろと星野ジャパンに批判が集中したが、日本プロ野球がレギュラー
シーズンを中断してまで参加するのは現実的でない。
　アメリカがマイナーリーガーで臨んだのは、日本と同じ理由だ。

　しかしファイナリストになったキューバや韓国のようにナショナルチーム
を常設できたり、レギュラーシーズンを中断できたりしないと金メダルは
難しいだろう。

　北京での中国戦を見ていたらアウェーにも拘わらずサッカーやバドミン
トン、バレーボールの会場のような殺気立ったムードは皆無で長閑な
ムードで行われていたのだ。
　しかも日本が先制したので体操にチャンネルを換え、試合開始から
1時間半経った20:30に野球を見てみると5回裏だった。　

　五輪種目の特徴は1試合が長くてもサッカーのような1時間半。
　だから展開によっては3時間を越える時間がかかるバレーは、時間短縮
のために全セットをラリーポイントにしたのだ。
　これで試合時間が明らかに短くなった。

　にも拘わらず野球の試合時間は3時間はかかる。

　中国戦の展開を見ていたら

‘これなら野球が外されるはずだ’

と痛感した。

 　とはいえ7イニング制にしたり、延長戦を悪名高いタイブレークにする
のは邪道だ。
　そう思っていたら阿部氏の‘オリンピックに野球は似合わない?’ を思い
出した。　

　幸いオリンピック種目から外されてもサッカーW杯にあたるWBCが来年
以降行われる。
　それを考えるとWBCこそ野球の世界一決定戦として育てる必要がある。

　少なくとも短時間で終わるようにルールを

捻じ曲げてまで五輪に残す必要はないと

思うのだ。