春は投手力、複数投手も当たり前に センバツを振り返る
今年の選抜高校野球は東邦が30年ぶりの優勝を飾って文字通り
平成最初と最後を優勝する形になったのだが、東海王者の東邦は結
果的に1度も相手にリードを許す事なく優勝したのだから本当に強
かった。
最大のヤマ場は2回戦の広陵戦だったわけだが初戦で強打の八戸
学院光星を完封した河野相手に1回に2ランで先制すると3回まで
に6点を挙げて大勝しただけでなく、連戦となる準々決勝に備えて
7回以降に石川を休養させられたし連戦となった準々決勝でも8回
から休養させられる余裕ができたのが大きい。
休養日を挟んだ準決勝では5イニング休んだ石川と、準々決勝で
161球投げた中森との差が最後は出た形だったし決勝は自らのバッ
トで3点先行したのをバックに余裕のピッチングができたわけだ。
それにしても今大会は投手達の疲労を考慮してか1人の投手に全
試合フルイニング投げさせるケースが一気に減り、最初から継投を
意識したチームが多かったのが目立つ。
ベスト8に残ったチームの中で最初から継投ありきのチームが習
志野と明豊に筑陽学園や智弁和歌山と半分の4チームあり、2回戦
までに複数投手を投げさせたのは前記した4チームに市和歌山や東
邦に明石商と平安以外の7チームが複数の投手を起用していたし平
安も準々決勝では2試合連続完投の野沢を先発させなかった。
また2回戦敗退組の16チームの中で初戦に続いて完投したのは
星稜の奥川のみで、意外だったのは初戦で完封した高松商・香川や
1枚エース状態の大分・長尾らが2回戦では先発しなかった事。
基本的に初戦と2回戦の場合は意外に間が空くのでエースを連投
させるのに対し準々決勝になると、特にベスト16最終日に登場した
チームはエースを先発させないケースが目立っていたのだが今回は
初日に登場した市和歌山や高松商といった公立校が2回戦でエース
を先発させなかったのだ。
両チームとも勝てば次は優勝候補筆頭の星稜戦という意識があった
事が推測されるが、大分や明石商は準々決勝と連戦になる事からエー
スを温存しての戦いになっていたようだ。
こうしてみると各チームの監督も打撃レベルの向上を意識しており
疲労困憊なエースを連投させても打たれるだけで、むしろコンディシ
ョンのいい2番手投手の方が抑えられる可能性が高いと判断して事だ
ろうし‘複数投手制は強豪私立でしか’という定説を習志野や明石商、
市和歌山に高松商ら公立校が覆した事も注目していいだろう。
今年の初めに新潟高野連が提言した球数制限には道はまだまだだが、
凄い投手でも春の選抜とはいえ全試合フルイニング投げさせるべき
ではないという事が定着してきているという事になるのではないだ
ろうか。