今から20年前の今日95年6月4日に南アフリカのブルームフォンテ
ーンで行なわれたラグビーW杯の日本対ニュージーランド戦で日本
代表が17-145という大差で敗れるという‘ブルームフォンテーンの
惨劇’の国恥記念日である。
既にウェールズとアイルランド相手に完敗して予選プール敗退が
決まっていた日本が、世界最強といわれたニュージーランドにどこ
まで通じるかと思われていた試合は開始直後から無人の野を行くか
の如くノーホイッスルトライを連発されての大敗で日本のラグビー
人気は一気に下落したのだった。
87年に始まったラグビーW杯は91年に宿沢広朗監督率いる代表が
スコットランドやアイルランド相手に敗れたものの好勝負を演じ、
最終戦でジンバブエに52-8で快勝してW杯初勝利を挙げ次回以降
への希望をつなぐ形で終わった。
ところが代表チームを引き継いだスモール・ブッシュ氏のチーム
作りは最悪で外国人選手のパワーを前面に出したスタイルに固執し、
アジアでは何とか勝てても体格に勝る世界のトップクラスには通じ
ないだろうと一部の人間以外は思っていたのが現実になったのだ。
W杯後に発売された日本ラグビー狂会発行のラグビー黒書に代表
チームのW杯における詳細が記されており驚いたのだが、当時アマ
チュアリズムを標榜し遵守していたラグビー界が91年以降プロ化に
転じていたのに対し日本はカビの生えたアマチュアリズムにしがみ
付いていたゆえの惨事だったのが分かる。
日本では報酬を求めずに ひたすら己の能力を磨き上げるという
修業的なものがスポーツ界のアマチュアリズムと通じる事から長ら
く尊ばれてきたのだが、裏を返せば無報酬のボランティアという事
から誰も責任を取らない無責任体制という弊害があり南アフリカW
杯でモロにそれが白日の下に晒された形だったのだ。
ちなみにジョン・カーワンに率いられた日本代表が4年前に控え
中心チームでニュージーランドと対戦した時ですら7-83だった
のを見ると、スモールブッシュ・ジャパンの145失点が単なる実力差
だけでないものだったのが原因だと分かるだろう。
95年以降 世界のラグビー界は急速にプロ化が進んでいる中、日本
も以前とは比べものにならないぐらい頑張っているもののW杯では
勝ててないのが実情だ。
男子のボールゲームはプロ化に成功したサッカー以外は軒並み低迷
しているのは無責任体制という ぬるま湯にどっぷりと浸かっている
競技団体のお偉方が、競技力の向上よりも体制を維持したいと思って
いるのが最大の原因だし最近のバスケ界の混乱など最たるものだろう。
アマチュアリズムを隠れ蓑にした無責任体制の病巣が白日の下に
晒された象徴こそがブルームフォンテーンの惨劇なのだから。