‘ベースボール’と‘野球’の違いを理解すれば・・・・

 今から20年程前に某清涼飲料のCMで‘子供の頃からエースで4番~’と歌う
CMソングがあった。

 この歌の通り日本では少年野球から一番運動能力の高い者にピッチャーを
させて4番を打たせるというのが伝統的なセオリーだったのだが、先日も
Numberのコラムにも載っていたようにアメリカを含めたラテン諸国の価値観は
違うらしい。

 というのが今から30年前にジャイアンツの監督を解任された長嶋茂雄が
キューバやMLBを視察して回った時の本・ネバーギブアップには
‘キューバでは一番身体能力の高い者がショートを守り、続いてセンターに行く
のでピッチャー投手は一番才能の無い者が担当するポジション’と記されていた。

 日本では最も身体能力が高い者がピッチャーをやり一番才能が無い者は
‘ライパチ’と呼ばれる8番ライトというのを考えると180度違う価値観では
ないか!

 そういえばサイ・ヤング賞経験者でMLBでNo1サウスポーの評価が高いベネ
ズエラ人投手のヨハン・サンタナは高校時代まで利き腕の左手にグラブを嵌めて
ショートを守っていたものの、大学進学後に左利きというのがバレてセンターに
コンバートされ あまりにも肩が強いので散々の説得の末ようやくピッチャーに
なったというエピソードがある。

 MLBを見ていても牽制を含めたクイックモーションやフィールディングが苦手な
ピッチャーが意外に多いのも‘ピッチャーは一番能力のない者のポジション’と
いうラテン系を中心にした常識を考慮すると頷ける。

‘ベースボールのベストスコアは8-7’という ルーズベルト大統領の名言を考慮
すれば点の取り合いをよしとするベースボールではピッチャーはストライクさえ
投げきればいいしキャッチャーは後ろに逸らさず肩が強ければ合格でインサイド
ワークは日本ほど重要視されないという話も当たらずとも遠からずだろう。

 翻って日本では同じ1点差でも8-7は‘大味な試合’と評価は今ひとつで1-0
とか2-1の 試合を喜ぶケースが多いのはバッテリー対バッターの一騎打ち的な
発想で野球を見ている事から来るし、野村克也などがMLBに否定的なのも
キャッチャーのインサイドワークが重要視されないスタイルなど野球ではないと
いう思いからなのだろう。

‘ベースボール’と‘野球’の間には太平洋ぐらいの価値観の差があると思った
方がいいのだが、今年ポスティングでMLB入りしたダルビッシュ有や和田毅に
岩隈久志らがすんなり契約が成立したのに対し野手の青木宣親が入団テスト
をさせられたり中島裕之が破談になったりしたのも‘日本ではピッチャーが一番
優れた者が担当するポジション’という 価値観をMLB関係者が理解したから
だろう。

 ならば日本も外国人選手(特にラテン系)を獲得する時はピッチャーではなく
ショートを中心にした野手を優先的に取るというようにするべきではないかと
思うのだが、前記したように‘アメリカやラテン系の国ではショートが最も才能の
ある者が起用され、ピッチャーは一番才能の無い者が担当する’というアチラの
常識を日本の野球関係者が どこまで 理解しているかという事にもなる。

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