ビビッド能里子トーク・サロン

医学的にも珍しい満十年の認知症介護について。自己分析や気分転換、幸せを感じる心の癖の付け方、メチャ料理など楽しく書きます

最期の乾杯

2024-09-22 16:33:40 | エッセー
  過去に何度入院したか分からないほどだが、今までは退院すると、必ず
すぐにビールで乾杯できたが、今回は相当重症なのでそうはいかないと
思った。でも、可愛いミニビールジョッキを見つけて買ってあった。
 家に帰って二日目、ビールは私達にとって主食のようなもので、炭水化物
は一切食べず、栄養素とバランスの摂れたいろいろな種類の料理だったが
夫はいつもこう言った。「美味しく食べられて幸せ」と。

 二日目に可愛いミニジョッキにビールを注いで「乾杯する」と聞いたら
うなづいた。最期に一度だけ、ベッドに座ってミニグラスに半分ぐらい
飲めだビールだったがちょっと嬉しそうだった。一昨日から声が全くでな
くなった。早朝に長男の息子が来たり、山口県に嫁いだ孫娘が、映像で
ひ孫娘と共に「グランパ」と、大きな声で何度も呼びかけても、目は開い
ていたが全く反応はなかった。でも、久しぶりの内孫達やひ孫も、きっと
判っているのだと感じた。

 昨日からほとんど眠っていて、あれほど体を動かしたのに、全く動かなく
なり、夜9時ごろ呼吸が早く苦しそうで不安になり、先生に往診していた
だいた。すると、「終末期になると、呼吸が荒くなったりして、苦しそうに
見えるが、本人は意識がないので苦しくはない」と、先生の説明を受けて
ホッとした。夜中に何度か起きて口が渇いていそうなので、ガーゼで口を
湿らせると唇を動かすようなしぐさをする。
 最期までピッタリ寄り添って介護でき幸せを、神様に感謝でき胸が
いっぱいになった。
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