「自分自身のための覚書」⑥

2011-10-17 04:57:30 | 従って、本来の「ブログ」

 


           「自分自身のための覚書」

              

               ⑥


 かつてアメリカは、泥沼化したベトナム戦争から撤退を決めて、

国民は大きな挫折を味わった。しかし、それは自分たちの国のあり

方を内省するための大きな契機になった。政府は世界から身を引き

国内問題に目を向けざるを得なかった。戦争による支出で財政が逼

迫し、若者たちによる反戦運動が全土で起こり、人種差別問題を始

め環境問題など様々な問題が噴出していた。社会には虚無的な空気

が漂い不満が蔓延し、若者は明日の見えない現実に苛立ち、帰還兵

が持ち帰った麻薬に溺れた。自由の国アメリカは大きな転換を迫ら

れていた。そうした混乱の中で様々な生き方が模索され自然重視の

考えは今も生かされている。そして、その中心にあったのは何と言っ

ても音楽だった。中でも若者の心を捉えたのはロック・ミュージック

だった。エレキギターの激しいビートが若者たちの閉塞した状況を

揺すぶった。音楽は孤立した人々の心を繋いで連帯感を取り戻させ、

やがて、若者は挫折から立ち上がり再び歩き始めた。あの自省的な

時代が今のアメリカの発展に繋がったのではないかと私は思う。

 ところが、ソ連があっけなく崩壊し一極支配を手に入れると、パ

ックスアメリカーナの下で早速「約束の地」を巡る領土問題に端を

発する中東問題に介入し、イスラム諸国との終わりなき紛争に手を

染め、一時はイスラエル、パレスチナ双方の指導者の手を握らせて

和解を演出したが、怒りの収まらないパレスチナ人やムスリム(イス

ラム教徒)の人々は反発を強め、過激活動家によるテロが頻発し、テ

ロリストを掃討する戦いは遼遠(りょうえん)に及び、その軍事予算

が一般財政を逼迫させ財政赤字が膨らみ、再びベトナム戦争の蹉「

轍」を踏んでしまった。

 アメリカは一極支配を降りて再び国内中心主義に戻るだろう。も

ちろんそれは世界を不安定化させる。ロシア、中国のヘゲモニーに

はアメリカの「自由と民主主義」や「テロリズムとの戦い」という

ような大義名分がない。ただ、自国の経済を発展させるためだけの

覇権主義である。もちろん、アメリカの大義名分だって牽強付会の

感は否めないが、古今東西、大義名分のためだけに強権を行使した

国家など皆無である。つまり、大義名分とは牽強付会するための方

便なのだ。さて、今後アメリカは内省に終始するに違いない。国内

経済を立て直し格差に苦しむ国民の不満を払拭しなければならない。

そこでは様々な議論が起こり国内は混乱するかもしれない。しかし、

私は本来の民主主義の姿を見せてくれるものと期待している。そも

そも民主主義国家の原点は内政中心主義にある。国内では環境問題

を始め格差社会の問題が取り上げられ、社会はどうあるべきが模索

されやがてその中から新しい文化が生まれてくる。だから、私はア

メリカが自省に還ることを歓迎する。歪になった自由主義社会を国

民がどう修正するのかに期待している。そして、そこでは新しい文

化が生まれ、再び彼らが「We're The world 」と歌って新しいアメリカ

が復活することを待ち望む。きっと、ビートじゃなくメロディーのような

気がするが。さらに、根拠のない勝手な予測ですが、国民は強いア

メリカを望まないので共和党は政権を奪えないでしょう。つまり、余程

のことが起きない限りオバマが再選されると思っています。


 

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