「常ならざること」
④
だからと言って、藤原紀香と陣内智則は最初から合わなかったの
かと言えば、もちろんそんなことはなかったと思う。彼らは本能的
には充分惹かれ合っていたと思う。ただ、生き方がまったく違って
いた。一方は社会がなければ生きられなかったし、また一方は自分
を失っては生きていけなかった。それじゃあ、いくら本能に還って
も、理性によって別れることになるなら結果は同じではないかと言
うかもしれないが、ただ、彼等はマス・メディアという極めて社会
性の強い特殊な檻の中に閉じ込められて、本能に従って生きること
などできなかった。多分、パンツを履いた途端に理性を取り戻して
ファンの顔が浮かんで来たんじゃないかな。それは藤原紀香の世界
であって彼はその偽善に耐えられなかった。
(つづく)