「あほリズム」（１９５)

　　　　　　　　　　　　　　「あほリズム」

　　　　　　　　　　　　　　　　（１９５)

　我々が近ごろ口にする「絆」とは、宛(さなが)ら、バスでたまたま

席が隣同士になった者の間で交わされる言葉だけの繋がりである。

　だから、突然バスが故障して、目的地までの長い山道を歩かなけ

ればならなくなると、忽(たちま)ち繋がりは消え失せ、それどころか、

一方が歩けなくなっても、手が差し延べられることも無い。だが、

本来、その差し延べられる手のことを「絆」と言うのだが。　　　　　　　　　　　　　

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