「あほリズム」(201)

2012-03-26 12:29:14 | アフォリズム(箴言)ではありません
                  

                   「あほリズム」


                     (201)



 近代社会は誰もが物質文明の豊かさを追い求める時代であった。だ

から、誰もが社会の「あるべき姿」を共有することができた。とは言

っても、我々が共有した豊かさとは経済成長だけだったが。ところが、

物質文明の様々な限界が見え始めると、それぞれが現実の違いから理

想を共有できなくなった。「あるべき姿」が共有できなくなった社会

は停滞し拡散する。社会が共有するのはただ「空しさ」だけだ。誰も

が孤立して現実の絶望と向き合う。励ましの歌でさえ力を失った言葉

の聞き飽きたお経のようで、みんな同じに聴こえてきてなお空しくな

る。ああ、誰か社会が共有できる新しい理想を語ってくれ。自分自身

を忘れて生きることのできる新しい理想を。そうだ!我々は、生きる

こととは自分自身を忘れることだと思っていた。生きる歓びは自分

の外にしかないと。果たして、生きることとは自分自身を失うことだ

ろうか。しかし、停滞した社会ではそれぞれが失った自分自身を取

り戻さなければならない。我々現代人がもっとも忌み嫌う「孤独」の

時代が始まろうとしている。



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