ロビンの観劇日記

芝居やオペラの感想を書いています。シェイクスピアが何より好きです💖

2015年の芝居&オペラの回顧

2016-03-21 20:19:01 | 回顧
ついに関東地方でも桜が咲いてしまった。今年は何とか1月中には書ける、と思っていたのに…。まあこのブログの読者の皆様は
誰も驚きはしないだろうけど…。
さて、昨年は芝居を34こ見た。その中から特によかったものを厳選し、見た順に7つ挙げると、

  2月 ペリクリーズ           シェイクスピア作   本多劇場(加藤健一事務所)鵜山仁演出 

  4月 ウィンズロウ・ボーイ       ラティガン作     新国立劇場       鈴木裕美演出 

  5月 ローゼンクランツとギルデン    ストッパード作    下北沢offoffシアター  鵜山仁演出
     スターンは死んだ
         
     海の夫人             イプセン作      新国立劇場        宮田慶子演出        

  8月 トロイラスとクレシダ       シェイクスピア作   世田谷パブリックシアター 鵜山仁演出 

  10月 ヴェローナの二紳士        シェイクスピア作   さいたま芸術劇場     蜷川幸雄演出

  11月 スポケーンの左手         マクドナー作     シアタートラム      小川絵梨子演出


こうしてみると英国の作品ばかりで、違うのはイプセン1つだけという、評者の好みのはっきり出た結果となった。
演出家では鵜山仁の活躍が目立つが、小川絵梨子、鈴木裕美といった才能ある女性たちの台頭が頼もしい。

特に印象に残った役者を、これまた厳選して挙げると以下の通り。

   那須佐代子(ペリクリーズ、井上ひさし「國語元年」)
   采澤靖起 (「20000ページ」、「白鯨」)
   浅野雅博 (ロゼギル)
   石橋徹郎 (同 上 )
   たかお鷹 (國語元年)
   志田未来 (オレアナ)
   
    

さて、昨年は芝居もさることながら、オペラの収穫が大きかった。しかも8つ見た内、本邦初演が6つ!
これまでオペラの総括はやっていなかったが、どうしてもやらないわけにはいかない。
4つに絞って見た順に挙げると、

    2月 フェラーリ作曲  「シンデレラ」   新国立劇場       … ストーリーも面白く、楽しい。題名役の鈴木慶江が好演。  

    3月 ヴィヴァルディ作曲「メッセ二アの神託」神奈川県立音楽堂   …数々の名アリアに圧倒された。歌手陣も素晴らしいし話も面白い。

    10月 R.シュトラウス作曲「ダナエの愛」   東京文化会館大ホール  … 実に楽しかった。演出が素晴らしい。美術も。

       ペルゴレージ作曲 「オリンピーアデ」 紀尾井ホール    … ストーリーも面白いし、歌手陣が最高!

 
        
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オペラ「エウリディーチェ」

2016-03-14 21:49:43 | オペラ
1月23日川口リリアホールで、ジューリオ・カッチーニ作曲のオペラ「エウリディーチェ」をみた(演出:家田淳、指揮:濱田芳通、管弦楽:
アントネッロ)。

1600年10月、現存する最古のオペラ「エウリディーチェ」が初演された。作曲したのはぺーリというカッチーニの後輩に当たる男だった。
カッチーニはこの上演を不愉快に感じ、すぐに同じ台本で(!)別のオペラ「エウリディーチェ」を書き上げ、同年12月、ぺーリよりも先に
楽譜を出版した。そしてこれが彼が意地と執念で勝ち得た世界最古のオペラ譜となった。2年後、初演も果たした由。

死んだ妻を追って冥界まで行き、ついに許しを得て彼女を取り戻したかと思ったが…というあの有名なギリシャ神話のオルフェオとエウリディーチェ
の物語だが、これはフランス王アンリ4世とマリア・メディチの婚礼のために書かれたため、悲劇をハッピーエンドに変えてある。

その日本初演。カッチーニの他の作品からも数曲を加えた由。

オルフェオはリラと歌の名手で、太陽神アポロを父とする半神の英雄。エウリディーチェは妖精(!)で、二人は結婚したばかり。妖精たちや
羊飼いたちと世俗を離れた楽園にいるが、オルフェオが皆と語り合っていると、新妻が死んだという知らせが届く。
彼は冥界の入口にやって来る。女神ヴェーネレが彼を導いてやり、死者しか通さない三途の川の渡し守カロンテの脇をすり抜けて、彼は冥界に入る。
そこで彼が悲しみと懇願の歌を歌うと、心打たれた王の妻プロゼルピナと冥界の裁判官ラダマントが冥界の王プルトーネ(ハデス)を説得しようと
するが、なかなか首を縦に振らない。だがオルフェオの必死の嘆願とカロンテの助言で、ようやく願いは聞き入れられることになった。

とにかく進み方がゆっくりで長い。3、5時間!
しかも夕方5時に始まって、8時半に終わるとは…。ホール側の事情があるのだろうが、観客としてはこの時間帯はちょうど夕食時でもあり、
非常に困った。

アリアとアリアをつなぐオケの部分が軽快。

オルフェオが冥界の王プルトーネに切々と訴え、プルトーネの心が少し揺らぎ出すと、三途の川の渡し守カロンテが口添えして曰く、「地上に
生きる彼らの命はとても短いのです。どうせすぐここに戻って来るのですから、今は(エウリディーチェを)返してやったらどうでしょう」。
最終的にこの言葉に押されてプルトーネはオルフェオに愛妻を引き渡す。うーむ、そういうことか。いささかほろ苦い。

今回、歌手は難ありだったが、オケはよかった。

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