ロビンの観劇日記

芝居やオペラの感想を書いています。シェイクスピアが何より好きです💖

S.ジョーンズ作「ザ・ダーク」

2017-04-28 22:20:25 | 芝居
3月10日吉祥寺シアターで、シャーロット・ジョーンズ作「ザ・ダーク」をみた(演出:高橋正徳)。
日本初演。
舞台はイギリスのテラスハウス。同じ間取りの三軒の家に、三つの家族が生活している。それぞれの家族には秘密があり、ある日突然訪れた
「闇」を境に、それは徐々に明るみに出る。・・・家族の崩壊と再生の物語。
2004年にロンドンで上演され、ウエストエンドの話題をさらった注目作(チラシより)。

若い夫婦バーナビー(小林タカ鹿)とルイーザ(ハマカワフミエ)は生まれたばかりの赤ん坊との暮らしに疲れ、神経質になり、
異常と言ってもいいようなヒステリックな会話を交わし続ける。二人共おかしいんじゃないかと思ったが、そうではなかった。
二人は最初の子に数ヶ月で死なれたという辛い過去があったのだ。
中年の夫婦ブライアン(福士恵二)とジャネット(松本紀保)は喧嘩ばかりしている。15歳の息子ジョシュ(碓井将大)は引きこもりで、
もう半年も親と口をきいていない。
老女エルジー(山本道子)は息子ジョン(中山祐一朗)が幼児性愛者に間違えられた事件の後、家の前で抗議する人々の大声に悩まされている。

この3組の家族はこれまで相互に行き来はなかったが、突然の停電を機に関わり始める。
バーナビーは隣家のブライアンたちにロウソクを借りに行くが、夫婦喧嘩に巻き込まれてなかなか目的を達することができない。
ジョシュは黒覆面姿でルイーザの家に侵入し、ついでジョンの家に上がり込み・・・。
結局一同がブライアンとジャネットの家に集まることになる。

変わった芝居で、特に前半、同じセリフが複数の場所で複数の人によって続けて語られるので、慣れるまでは戸惑ってしまう。
それに後でも述べるが、話の流れについて行けない箇所がいくつかあった。
それでも見終わった後は、劇場に温かいものが流れて正直ほっとした。

ルイーザ役のハマカワフミエという人が素晴らしい。

面白い芝居だったが、いくつか気になったことがある。
①ラスト近く、ジャネットは夫に、警察に電話して今夜あったことを話してと言うが、一体何を話してほしかったのだろうか?
②情事が唐突過ぎる。取ってつけたよう。
③黒覆面の侵入者が赤ん坊を抱き上げて、衰弱した母親をいたぶるように脅し続けるのは、見ていて辛かった。
④ブライアンとジャネットはどうして関係修復できたのだろうか。
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三谷幸喜作「不信~彼女が嘘をつく理由」

2017-04-20 21:27:30 | 芝居
3月6日東京芸術劇場シアターイーストで、三谷幸喜作「不信~彼女が嘘をつく理由」をみた(演出:三谷幸喜)。

マンションに引っ越して来た夫婦(段田安則と優香)が隣人夫婦(栗原英雄、戸田恵子)宅に挨拶に来る。
段田は高校教師。優香は雑誌の編集者。栗原は公務員の由。
優香は隣町のスーパーで戸田が万引きするのを目撃。万引きは次第にエスカレートする。夫妻は夫栗原に告げるが・・・。
ホームパーティ。ダイヤモンドゲーム。
スノードーム。スプーン。イヤリング。
俳句のレッスン。
尿管結石。犬のぬいぐるみ。
カンニング対策としての電波探知機。
こういった小道具が話を先へ先へと導いてゆく。

優香が名探偵気取りで「・・・したんですね」と得意げに語り、「悲しい事件です」と総括するのがおかしい。
その時点ではまだ何も起きてはいなかった。だが彼女のその言葉が夫の心に作用し・・・。

段田安則がぬいぐるみをいじりながら不倫相手の女子大生と別れ話をする様がメチャおかしい。

栗原英雄は昨年の大河ドラマ「真田丸」で素晴らしい声で魅了してくれたが、今回ナマでその声を聴くことができた。
戸田恵子と優香も声が美しく、実に心地よい。
段田安則もはまり役。

三谷のハートウォーミングな芝居に慣れた観客には、ドライで殺伐とした風景が広がるラストは驚きだろう。
彼の作風は変わろうとしているのか?
もちろんいつものように笑いをまぶしてはいるものの、これまで見たことのないような三谷作品だった。

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