9月21日東京芸術劇場プレイハウスで、アーサー・ミラー作「橋からの眺め」を見た(演出:ジョー・ヒル=ギビンズ)。
ニューヨークの貧民街を舞台に、最愛の姪と暮らす夫婦が、違法移民の従兄弟を受け入れたことで一家に巻き起こる悲劇を
スリリングに描く社会派ドラマ(チラシより)。
エディ(伊藤英明)と妻ベアトリス(坂井真紀)は、ベアトリスの姉の死後、姪キャサリン(福地桃子)を引き取って3人で暮らしている。
キャサリンは、高校卒業後、速記の学校に通っているが、ある日、校長に呼ばれ、ある会社で女性を一人募集しており、学校で一番優秀な生徒として
推薦する、と言われる。卒業まであと半年ほどあるが、学業と両立できるし、給料も高いという。
キャサリンとベアトリスはすっかり乗り気だが、キャサリンをいつまでも子供扱いしているエディは、あの地区は物騒で、怪しい男たちがたむろしている、と
言って反対する。
だが二人の説得に負けて、ついにエディもキャサリンが働きに出ることを許す。
そんな時、イタリアから不法に入国したマルコ(和田正人)とロドルフォ(松島庄汰)という兄弟が、彼らを頼ってやって来る。
マルコはイタリアに、妻と幼い子供たちを残して、言わば出稼ぎに来たのだ。
一方、ロドルフォの方は、まだ独身。
エディは二人を地下室にかくまってやるが・・・。
エディは自分のことを、キャサリンの父親代わりの保護者のつもりでいるが、どうもそれだけとは言い切れないようだ。
冒頭、もう立派に成熟した女性であるキャサリンが、子供のようにエディに抱きつき、二人がハグしまくるのを見て驚いた。
この二人の関係は?夫婦?と思ったくらい。
実の親子でも、娘が中学生か高校生になったら、これほど密に接触したりしないのではなかろうか。
そして、エディと妻ベアトリスとの間に、この3ヶ月、夫婦の関係はない・・・。
ベアトリスにそれを指摘されると、彼は「この話はもうよそう」と嫌そうに言うのだった。
ロドルフォとキャサリンが急速に親しくなると、エディは気が気でなくなり、弁護士(高橋克実)のところへ行って訴える。
あんな奴、何とかしてくれ、と。
だが不法移民であること以外、ロドルフォは何の犯罪にも関わりがない。
弁護士はそう言ってエディを説得しようとするが、エディはまったく聞く耳を持たない・・。
初めて見た芝居で、内容もまったく知らなかったが、演出に問題が多いと感じた。
天井が何度も上下するのも意味不明。
みんながはしごを使って部屋に出入りするのも変だ。
ついでに言うと、チラシに「橋の下で身を寄せ合う人々・・」とあるが、彼らは橋の下に住んでいるのでは「ない」!
ちゃんと住所のある建物に住んでいるのだ。
ロドルフォの歌はイマイチ。どう反応していいのかわからず困った。
時々、弁護士が登場し、我々観客に向かってこの事件について語り、状況を説明する。
だが彼が、いくつかの場面で透明人間のように立っていて、その場にいる他の誰にも見えないという趣向があって、違和感を覚えた。
他の人にもそういう場面があった。
この弁護士が何度も不吉な予言をするので、きっと追い詰められたエディが誰かを殺すのだろうと身構えていたが・・・。
予想は一部裏切られた。
ラスト、一人がナイフでもう一人を刺すのかと思いきや、赤い液体の入った小瓶を持って近づき、その中身を相手にかける。
相手の白いシャツが赤く染まり、男は倒れる。
こういうのは初めて見た。
結局、エディに必要だったのは弁護士ではなく、セラピストかカウンセラーか精神科医だった。
役者はみな、なかなかの好演で見応えがあった。
エディ役の伊藤英明は、やや一本調子。
ニューヨークの貧民街を舞台に、最愛の姪と暮らす夫婦が、違法移民の従兄弟を受け入れたことで一家に巻き起こる悲劇を
スリリングに描く社会派ドラマ(チラシより)。
エディ(伊藤英明)と妻ベアトリス(坂井真紀)は、ベアトリスの姉の死後、姪キャサリン(福地桃子)を引き取って3人で暮らしている。
キャサリンは、高校卒業後、速記の学校に通っているが、ある日、校長に呼ばれ、ある会社で女性を一人募集しており、学校で一番優秀な生徒として
推薦する、と言われる。卒業まであと半年ほどあるが、学業と両立できるし、給料も高いという。
キャサリンとベアトリスはすっかり乗り気だが、キャサリンをいつまでも子供扱いしているエディは、あの地区は物騒で、怪しい男たちがたむろしている、と
言って反対する。
だが二人の説得に負けて、ついにエディもキャサリンが働きに出ることを許す。
そんな時、イタリアから不法に入国したマルコ(和田正人)とロドルフォ(松島庄汰)という兄弟が、彼らを頼ってやって来る。
マルコはイタリアに、妻と幼い子供たちを残して、言わば出稼ぎに来たのだ。
一方、ロドルフォの方は、まだ独身。
エディは二人を地下室にかくまってやるが・・・。
エディは自分のことを、キャサリンの父親代わりの保護者のつもりでいるが、どうもそれだけとは言い切れないようだ。
冒頭、もう立派に成熟した女性であるキャサリンが、子供のようにエディに抱きつき、二人がハグしまくるのを見て驚いた。
この二人の関係は?夫婦?と思ったくらい。
実の親子でも、娘が中学生か高校生になったら、これほど密に接触したりしないのではなかろうか。
そして、エディと妻ベアトリスとの間に、この3ヶ月、夫婦の関係はない・・・。
ベアトリスにそれを指摘されると、彼は「この話はもうよそう」と嫌そうに言うのだった。
ロドルフォとキャサリンが急速に親しくなると、エディは気が気でなくなり、弁護士(高橋克実)のところへ行って訴える。
あんな奴、何とかしてくれ、と。
だが不法移民であること以外、ロドルフォは何の犯罪にも関わりがない。
弁護士はそう言ってエディを説得しようとするが、エディはまったく聞く耳を持たない・・。
初めて見た芝居で、内容もまったく知らなかったが、演出に問題が多いと感じた。
天井が何度も上下するのも意味不明。
みんながはしごを使って部屋に出入りするのも変だ。
ついでに言うと、チラシに「橋の下で身を寄せ合う人々・・」とあるが、彼らは橋の下に住んでいるのでは「ない」!
ちゃんと住所のある建物に住んでいるのだ。
ロドルフォの歌はイマイチ。どう反応していいのかわからず困った。
時々、弁護士が登場し、我々観客に向かってこの事件について語り、状況を説明する。
だが彼が、いくつかの場面で透明人間のように立っていて、その場にいる他の誰にも見えないという趣向があって、違和感を覚えた。
他の人にもそういう場面があった。
この弁護士が何度も不吉な予言をするので、きっと追い詰められたエディが誰かを殺すのだろうと身構えていたが・・・。
予想は一部裏切られた。
ラスト、一人がナイフでもう一人を刺すのかと思いきや、赤い液体の入った小瓶を持って近づき、その中身を相手にかける。
相手の白いシャツが赤く染まり、男は倒れる。
こういうのは初めて見た。
結局、エディに必要だったのは弁護士ではなく、セラピストかカウンセラーか精神科医だった。
役者はみな、なかなかの好演で見応えがあった。
エディ役の伊藤英明は、やや一本調子。