【 2019年5月25日 】 大阪ニコンプラザ
高橋智史さんの写真集が2019年の第38回『土門拳賞』を受賞した。その受賞作の写真展が大阪で開かれるという記事を一ヵ月ほど前に見て、この日を待っていた。
大阪は京都から近いと言えば近いが、めったに行かない。久しぶりに行く梅田は高層ビルが立ち並びすっかり様子が変わってしまった。入り組んだ地下街をうろうろしてようやく目的地の「ヒルトンプラザ・ウェストタワー」14Fにある『ニコンプラザ大阪』にたどり着く。大きな展覧会場かと思っていたら、事務所とショールームを備えたフロアの一部を間仕切りした展示場だった。案内されて展示室に入る。
【 大阪ニコンプラザにて 受付の高橋智史さん 】
その入り口に居たのが高橋さんだった。はじめはそれとは知らず素通りしてしまったが、振り返って改めて見たら当人だった。10年もカンボジアに住んで取材を続けているというから、どんなモサイおじさんかと思ったら(失礼!)若い好青年ではないか。
「写真を撮ってもいいんですか?」と尋ねると、「会場の遠景だったらいいです。1枚1枚の全面撮影は困りますが。」とのにこやかな回答。 一通り、展示を見渡す。
【 会場風景 】
映像はどれも現場に密着して共に生活していなければ撮れないものばかりだった。それにしても、ここまで事態が悪化しているとは思ってもみなかった。
ポルポトの悪夢がようやく過ぎ去り平和な世界が切り開かれると思っていたら、また独裁政治に逆戻りしてしまう。【指導者の資質とは何なのか】、【民衆の力はどこまで独裁政治に立ち向かえるか】、【民主主義の土壌とは何なのか】-日本で今、そのような事態に至っていないのはたまたまの偶然なのだろうか?
最近のベネズエラでの混乱を見ても考えてしまう。チャベス大統領はましな政策をしていたと思っていたが、経済政策があんなに歪んでいたとは。それに後継者があんなのでは最悪だ。民衆の力も大切だが、アメリカやロシア、それに中国などの大国の干渉が激しい中で、国も方向を正しく見定めるには、やはり指導者の力量、影響力は大きい。それを考えるとホーチミンやカストロはすごいと思うし、最近復活したマハティールも大したものだ。-等々、余計なことを考えてしまう。
【 購入した写真集 と もらったサイン(中頁) 】
せっかく大阪まで来たのだから-入場料もいらなかったし-せめて写真集は購入しておこうと買い求める。当人も目の前にいるのだからと、あつかましくサインをしてもらう。
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このブログを書くのが5日も間が空いてしまったのには、この話に後日談があった。会場を出て、まっすぐ京都に戻るには時間があったので大阪港まで行って「海遊館」に行く。人波にもまれて、だいぶ疲れて京都に戻り、外食で夕食を済ませようと店に入ったところ、満員で40分待ちというからあきらめバスで家路に向かう。そのバスの中に、せっかく買い求め-サインまでもらった「写真集」を他の資料とともに車内に忘れてしまったのだ。すぐに問い合わせたがないという。がっかりして3~4日過ぎた昨日、もしやと思って再度、忘れ物係に問い合わせると「ある」という。ああーなんて、日本っていい国なんだろう!と息を吹き返した次第。
改めて買い求めた写真集を見る。1つ1つの写真にコメントする余裕も知識もないが、下記のサイトにそれぞれの写真の撮影背景が語られている。参考になるので是非覗いてみてください。
『カンボジアの現状を知る』-東洋経済のサイト
このサイトに、写真集と関連する「カンボジアの現状」についての高橋さんの解説と対談が載っています
『高橋智史写真集「RESISTANCE-カンボジア屈せざる人々の願い」の土門拳賞受賞』を知らせるサイト
上のサイトで「写真集」の写真の一部が見れます
映画『消えた画-クメールルージュの真実』-マイブログへ