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最近上映されて良かった映画、以前見て心に残った映画、感銘をうけた本の自分流感想を。たまには旅行・山行記や愚痴も。

2015年9月・聖岳から光岳へ縦走-その2

2015-10-29 21:04:22 | 山・旅行


    
 【 2015年9月20日 】  
     登山第2日目
      5:00朝食-6:15聖平小屋出発-8:05小聖岳-9:50聖岳(前聖)到着
      -10:30奥聖岳-(昼食)-11:25出発-12:45小聖岳-13:50薊畑
      -14:20聖平小屋着-16:30夕食


       


 朝6時15分、余裕をもって聖小屋を出発する。荷物はコンパクトにたためる超軽量のサブザックに入った雨具と水筒と昼食用の食料だけ。メインのザックは小屋に預けたからずいぶん身軽だ。
 朝靄がかかっているが、今日も晴天になりそうだ。ひんやりとした空気が気持ちいい。昨日の疲れが残って足にきているか心配したが、背中の荷物が軽いせいもあって、水平な道を歩くには何の疲労も感じない。前日来た木道をT字の分岐点まで戻る。『便ヶ島』から7時間近くかけて登って来た時とは、また趣が違う。


                        
                           【 さわやかな朝、昨日来た道をT字路に向かう 】

 昨日の晩は何時に寝てしまったのだろうか。早めの午後3時過ぎ山小屋に到着し、ザックを下した後、外のテーブルでビールを飲んでゆっくりしてから宿泊の受付をしたら、その時「今日は混んでいるので一人当たり40cmしかスペースがないと告げられた。荷物を持って指定された番号の所に行くとすでに両側のスペースには場所を確保する印のシュラフが広げられていて、2人分で50cmくらいしか空いていない。しかも片方のシュラフには人が入っていて夕食前なのにすでに休んでいる。《勝負》は夕食が済んでからだと思い、夕食まで外ですごした。

 Yさんがあらかじめ調べておいてくれたのだが、この周辺の山小屋では、布団にくるまって寝るのではなく、代わりにシュラフが当てられその中に納まって寝るようである。敷布団も掛け布団も用意されていない。だからフリースやらダウンやら着込んで寝ないと寒いので、そうしなさいとネットの情報から知らされる。それと、シュラフを持参すると料金を千円引いてもらえると教えられたので、今回新しいシュラフを購入して持参することにした。


 2巡目の夕食が済んで、場所を確保すべく部屋に戻り割り当てられた番号を見るが、どう考えても2人分の肩幅がとれる広さを確保できそうもない。隣のシュラフを少しずらして、私とYさんは互いに頭と足の位置を反対にして寝ることにする。
 しばらく明日の昼食はどうしようかとと考えているうちに、知らない間に寝入ってしまった。午後7時は回っていない時間だったかと思う。
 

                                         
                                             【 だいぶ登ってきた登山道を振り向く 】


 狭いスペースだったが、適度の疲労のため8時間以上も熟睡できた。そんなわけで、『薊畑』からの急な登りも苦にならず、ぐんぐん高度を稼ぐ。樹林帯を過ぎ、高い木も少なくなり霧も上がると真っ青の空がまぶしい。


        
                    【 今日も快晴!】                  


 今日も天候は晴れであるが、雲が流れ空の様子が激しく変わる。北の空は真っ青に晴れ渡っているが南の方はガスがかかっている。でも、雨の心配は全くない。樹林帯を抜け、背の高い木が少なくなるともうすぐで『小聖岳』のはずだ。


                                  
                                      【 大きく目の前に近づいてきた『聖岳』】

 一旦大きく下って登り返すと、どこが頂上かわからない『小聖岳』の左側の谷を挟んで、向こうに『聖岳』の威容が迫ってきた。左に目をやれば『聖岳』から西に延びる稜線上の先にある、いかにも険しそうな『兎岳』の岩場が見える。


              
             【 西から雲のかかる『兎岳』-聖岳に向かう稜線がきつく見える 】


 少し上ると、今度は右手-東側の雲の中に富士の姿が-今回の山行で初めて見る富士山だ。


                                              
                                                  【 今回の山行で初めて見る『富士山』】

 ほどなく、今日の登りの中間点である『小聖岳』に8時5分、到着。

                         
                             【 『小聖岳』に到着-頂上まで半分 】


 小休止のあと、ここから小さなコブを3つほど越える。雲の通り道なのだろうか、急にガスがかかり視界が悪くなっては、またすぐ晴れる。


              【 ガスの中のガレ場のやせ尾根 】


 『小聖岳』から聖岳頂上直下の大斜面に出るまでの区間は【ガレの縁のヤセ尾根を歩く-足元注意)】との表示が地図にあったが、実際にはどうということはなかった。


 地図上から得られる情報と、実際に現地で得られる情報は、やはり全然違う。周りの景色も状況も、行ってみて初めて分かることが多いから、やはり行く価値があるのだ。一度行ったところの経験は、その後、映像や写真あるいは文書で再度接した情報をより豊かにしてくれる。

 映画を見ていてもそうだ。同じシーンでも、一度現地を訪れる前と、行ってみた後ではやはり情感が全く違う。


                                              
                                                   【 3つの乗り越えてきたコブを振り返る 】


 《危険地帯》をすぎて、大斜面に入る手前のガレ場を10mくらい下ったところに水場があった。ペットボトルの水が少なくなりラーメンを作るのをあきらめかけていたが、運よく水を調達できた。


                    
                          【 ガスが切れて青空に映える頂上付近の稜線 】


 大きな岩がゴロゴロする大斜面は、さながら《富士登山の8合目から頂上への様相》である。起伏もなく周りの景色も単調な岩屑の斜面をジグザグに登るだけである。その単調な登りを右に左に折り返し、何十分くらい登っただろうか。
 休に視界が開け、もうそこが頂上だった。9時50分、聖岳(前聖)に到着!
 

                                    
                                 【 聖岳頂上-背後に『大沢岳』(左奥)と百間洞と雲の中の『赤石岳』 】

               
                    【『大沢岳』-上の望遠拡大写真 】


 頂上からの眺めは最高だ。北方向には『大沢岳』から『百間洞』を通り『赤石岳』に至る縦走コースの尾根が見渡せる。『馬の背』から赤石岳の頂上にかけては雲がかぶさり、赤石岳本峰の雄姿は見えない。雲が西から東に流れ、《その雲》が通り過ぎれば姿を現すのではないかと待つが、『馬の背』辺りで新たな雲が発生して、赤石岳の頂上付近は姿を見せてくれない。
 あきらめて、その先の『奥聖岳』まで行って、そこで昼飯を取ることにする。


                                        
                                             【 奥聖に向かう稜線上のYさん 】


 『前聖』の頂上は人で賑わっていたが、『奥聖』まで足を延ばす人は少ないのか、数人しかいなかった。お湯を沸かしカップ麺を食べる。


            
                  【『奥聖岳』標識-三角点は別の所にある 】

 
 カップ麺をすすっている間もずっと赤石岳方面を見ていたが、ここでも、『赤石岳』は全容を現してくれない。次々、雲が通り過ぎては、赤石の手前でまた雲が発生しイタチごっこだ。
20分も粘ったろうか、だめだとあきらめて聖本峰に戻る道を取る。


                    
                         【 姿を現してくれない『赤石岳』】


 西の方向は相変わらず雲に覆われている。『聖岳』頂上付近にもガスがかかってきた。あとは、朝来た道を小屋まで戻るだけである。


          
                【 再びガスに覆われる『聖岳』方面 】 

 あれほどハアハアいって登って来た道も、帰りは楽である。荷物も少ないから膝の負担も少なくて済む。これなら、『茶臼小屋』まで行くのもできたかなと一瞬思ったが、『聖平』に着いたのが2時頃で、そこから約5時間の行程の『茶臼小屋』まで行くのはやはり無理だと考える。


                                         
                                                  【 聖平に戻ってくる 】


 午後2時20分、『聖平小屋』に帰着。それにしても夕食まで時間がありすぎる。汗をかいた衣類を着替え靴を脱ぐと、特にすることもない。昨日到着した時のように、疲労で横になりたいこともない。

 そういえば、今日の行程で抜きつ抜かれつした夫婦ずれの登山者のひとから、小屋に「個室」があることを聞いた。北アルプスのメジャーな山小屋なら考えられる「個室」がまさかあるとは思いもつかなかったが、前日の《窮屈さ》を再度今夜もと考えると、空いていたら利用する価値があると思った。値段を聞いたら1部屋2人相当で、プラス4千円ということだっだから、申し込む。その場所に荷物を置きに行くと、半間の【押し入れ】のようなスペースを上下2段に分けた下の空間が割り当てられていた。大部屋と隣のスペースとは合板で仕切られているだけだが、一応《個室》かと思う。昨夜の公称40cmから実質45cm確保されるのと、両隣の人の足で頭が動かせないことがなくなるということと、【いびき】の音が緩和されることで、満足しないといけないところだ。



                  
                    【 テーブルに広げられたアルコール各種とつまみ類 】


 寝場所を確認した後は、例のようにつまみ類を持って外のベンチに腰掛け、ビールを飲む。

 相席でたまたま前に座ったグループが面白かった。3人が同じグループの仲間同士かと思ったら、話を聞いていると3人とも別の人ということだ。あまり仲良く冗談を言いながら話をしているので、そう思ったが、そうではなかった。二人が自慢話から親しくなったところへもう一人加わり、意気投合する。そこに4人目の私が席を同じくしたということらしい。
 はじめはそんなこととは知らず、よそ者のように距離を置いて3人の話だけを聞いていたら、こちらにも話題を振ってくる。で、仲間入りである。

 そのうちの一人が某新聞社記者で、取材を兼ねて山に入っているという。自慢話のあと、ヒョンな話を聞いた。どうも、私らが入った『易老渡』の林道が崩落して車が入れないということだ。入れないということは、出られないということだ。どの辺で道路が崩落して通れなくなったかは定かではなかったが、『便ヶ島』に止めてある自分らの車が出られないことだけは確かだった。
 しかし自分らが下山するまでにはまだ4日間もあることと、アルコールのせいで多少気の大きくなったこともあり、深刻には考えなかった。

 それよりも、この新聞記者の凝り性には驚かされる。次々とタッパにいれたグルメを出してくるのだ。生ハムにレーズンバター、何かのペースト状の珍味を、その場で切ったフランスパンに乗せ【カナッペ】よろしく皆に振舞うのだ。私も、空になった函ビールにかわってボトルに入れてきた赤ワインをチタンカップに注ぐと、「赤ワインにはやっぱりチーズ。」と言いながら、ブルーチーズの塊をナイフで切り取って渡してくれる。アルコールも数種類持ってきているから驚きである。

 4時半の1巡目の夕食の呼びかけがかかったが、3時過ぎから始めた《宴会》ですっかり出来上がってしまい、小屋の食事を食べるのがつらかった。

               
                                       【 3日目に続く 】



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  2015年9月聖岳から光岳へ縦走-その2
   



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