【 2015年8月5日 】 記
『モンサント』やGMOに関連する本や映画を、最近たてつづけに読んだり見たりしていたので、以前『ハゲタカ』を読んで、当時猛威を振るっていた「金融資本」のリアルな描写が印象に残っていて、たまたま店頭で見かけた同書を読んでみた。
読んでみて感じたことは、《ちょっと、突込みが足りないかな》と印象。
というのは、『食の戦争』(鈴木宣弘著)、『モンサント』(マニー=モニク・ロバン著)で問題になっている、モンサントの【食による世界制覇という驚異】に迫る観点が欠落しているように思う。
この小説で扱っているのは、もっぱら「ミツバチ」との関連で【農薬の安全性】が話題の中心になっていて、『GOM』が登場するのは最終部分に少しだけである。それも、『将来の世界人口の爆発的な増加に伴う食糧危機に「GMO」が救世主になるかもしれない』という肯定的な見解を登場人物に述べさすにとどまる。
期待外れだった。
『黙示』(真山仁)新潮文庫のサイト