遊民ヤギ爺

俳句と映画のゆうゆう散歩

蕗のじいって?

2020-03-13 11:18:01 | 日記

令和2年3月13日(金)

蕗のじい、蕗のしゅうとめ

蕗の薹の異称で、特に茎が伸び花が咲き

きったものをいう。

蕗の薹の「薹」は、野菜などの花茎が伸

びて固くなり、食用の時期を過ぎて、盛

りが過ぎてしまった事をいう。

この状態を人間に当てはめ、用いられる

様になった。

一方、「姑」(しゅうとめ)は、夫(妻)

の母親のことで、年を取り盛りを過ぎた

女性の事を言う。

これから、蕗の薹も人もどちらも食べ頃

(働き盛り)を過ぎたことの比喩として

表される。

そして、蕗がどんどん伸びて涸れそうな

姿、それを「蕗の爺」と見立てた。

こんな季語が在るのを全く知らなかった。

俳人の夏井いつきさんの「絶滅寸前季語

辞典」の中に「蕗のじい、蕗のしゅうと

め」の記述があり、面白く拝見した。

 

「蕗のじい、蕗のしゅうとめ」

蕗の薹の伸び切ったもの、

早春の吟行の楽しみの一つは春の季語探し

その年初めての「蕗の薹」を見つけたり

した日にゃあ、俳句仲間は「わあわあ」と

騒ぎ出す。が、然しそれにしても「蕗の薹」

のあの伸びすぎて30cm程にもなって、

これはひょっとすると蕗の薹ではないかも

しれぬと、疑ったりする様になった。

あの蕗の薹の事を「蕗のじい」だの「蕗の

しゅうとめ」だのと呼ぶとは知らなかった。

となれば、彼らにご挨拶句の一つずつも差し

上げるのが礼儀というものだが、こんな季語

に二句も捧げるなんてアホらしい。

一度一句で済ましてやれと、手抜きアイデア

に膝を打ったのも束の間、残りが五音しかな

いことに気が付き、立ち往生しているワタク

シである。

俳人の名句

蕗のしゅうとめに倒れて蕗のじい   夏井いつき

(夏井いつき著 : 絶滅寸前季語辞典より)

 

昨日、お隣より「蕗の薹」を頂いた。

ほんの少し、伸びすぎた物もあり、思わず

この「蕗の爺」を思い出した。

早速、沸騰した湯に蕗の薹を入れ塩を加え、

3分程茹で上げ、冷水に晒す。こうすると灰汁

がとれる。お浸しで頂くが若干苦みがあった。

春の香りがした。

 

今日の1句

蕗の爺ううむ苦さの更に増し    ヤギ爺