花の詩「カタクリ」
早春ひそやかに咲くカタクリの花を撮影したいと機会を狙っていたが、昨年、何年振りになるだろうか大阪府交野市私市にある大阪市立大学理学部附属植物園の山野草エリアで撮影することが出来た。
1輪ずつ花をつけるカタクリには、「初恋」「寂しさに耐える」という花言葉があり、「初恋」は下向きにつく、つぼみの様子から、初恋のようなせつなさをイメージしてつけられたという説があり、また、「寂しさに耐える」という花言葉は、1株に1輪ずつしか花をつけず、まだ肌寒さも残る季節に、すっと佇んでいるイメージからつけられたという説があります。
ユリ科カタクリ属に属する多年草で、古語では「堅香子(かたかご)」と呼ばれていた。
早春に10cm程の花茎を伸ばし、薄紫から桃色の花を先端に一つ下向きに咲かせ芽が地上に出てから10日程で開花する。花茎の下部に通常2枚の葉があり幅約3~6cm程の長楕円形の葉には暗紫色の模様がある(地域によっては模様がないものも)。開花時期は3月下旬~6月で葯は暗紫色。地上に葉を広げると同時に開花する。日中に花に日が当たると、花被片が開き反り返る。日差しがない日は終日花が閉じたままで、開花後は3室からなる果実が出来、各室には数個から20程の胚珠が出来る。地上に姿を現す期間は4~5週間程度で、群落での開花期間は2週間程と短い。このため、二輪草など同様に「スプリング・エフェメラル」(春の妖精)と呼ばれている。
かつてはこの鱗茎から抽出したデンプンを片栗粉として調理に使われていた。近年は片栗粉にはジャガイモやサツマイモから抽出したデンプン粉が用いられている。若葉を茹でて、山菜とし食べられることがある。鑑賞用の山野草として、カタクリの球根が販売されているが、日本各地の群生地では、春の開花時期に合わせて「カタクリ祭り」などが開催される。
カタクリは、かつては里山であれば簡単に見つけることが出来たが、現在はその姿を見る場所は少なく、森林の荒廃で笹などの別の草木に生息域を奪われた。場所によっては絶滅危惧種の指定を受けていて、植生地を整備することで守られている場所も少なくない。
私の知るところでは、大和葛城山(大阪府・奈良県)は、カタクリの群生地として知られ、ツツジの咲く直前の4月中旬~下旬に自然研究路周辺に多くの花を咲かせる。周辺は多くの登山コースが整備されているので、ロープウェイを使ってのんびり登山するも良し、ダイヤモンドトレイルを使って、ロングトレイルを楽しむこともできる。
「カタクリの花」にこのような歌がある。
作詞 笠木 透、 作曲 安達元彦
1.遠く山並みに 雪は残れど
やがて芽吹きの 山すその林
春になるたび きっと思い出す
嫁いでいった 君のことを
赤紫の カタクリの花
君に似ているね
やさしい花だね
2.山の畑には 誰もいない
野焼きの煙が 流れただよう
春が来たのに 別れだなんて
忘れはしない 君のことを
赤紫の……
3.近くハルゼミの 声が聞こえる
陽射しあたたか 萌えるかげろう
春だ 春なんだ それでも春だ
さびしくなるな 君がいなけりゃ
赤紫の……
【俳句】
◇「片栗の 花の紫 うすかりき」高浜虚子
◇「かたかごの 咲くや万葉の おもかげを」 山口青邨
◇「かたかごの 山の斜面の 日ざしかな」細見綾子
◇「かたかごの 花に入江の 汐騒ぐ」山口青邨
◇「日洽し 片栗の葉に 花に葉に」石井露月
◇「かたかごの 花や越後に ひとり客」森澄雄
◇「片栗の 花を咲かせて 山しづか」長谷川 櫂
◇「かたくりの 花に夕日の 端とどく」井上あい
◇「片栗の 一つの花の 花盛り」高野素十
【和歌】
◇「もののふの やそをとめらが 汲みまがふ 寺井の上の 堅香子の花」大伴家持
◇「をさなくて わがふるさとの 山に見し 片栗咲けり みちのくの山に」三ヶ島霞子
◇「妹がくむ てらゐの上の かたかしの 花咲くほどに 春ぞなりぬる」藤原家良
◇「かたくりの 若芽摘まむと はだら雪 片岡野辺に けふ児等ぞ見ゆ」若山牧水
◇「春雨の ふりつぐ中に みづみづしく 一日閉じたる かたくりの花」土屋文明
◇「日中(にっちゅう)を 通りつつ時折に むらさきそよぐ 堅香子の花」宮 柊二
早春ひそやかに咲くカタクリの花を撮影したいと機会を狙っていたが、昨年、何年振りになるだろうか大阪府交野市私市にある大阪市立大学理学部附属植物園の山野草エリアで撮影することが出来た。
1輪ずつ花をつけるカタクリには、「初恋」「寂しさに耐える」という花言葉があり、「初恋」は下向きにつく、つぼみの様子から、初恋のようなせつなさをイメージしてつけられたという説があり、また、「寂しさに耐える」という花言葉は、1株に1輪ずつしか花をつけず、まだ肌寒さも残る季節に、すっと佇んでいるイメージからつけられたという説があります。
ユリ科カタクリ属に属する多年草で、古語では「堅香子(かたかご)」と呼ばれていた。
早春に10cm程の花茎を伸ばし、薄紫から桃色の花を先端に一つ下向きに咲かせ芽が地上に出てから10日程で開花する。花茎の下部に通常2枚の葉があり幅約3~6cm程の長楕円形の葉には暗紫色の模様がある(地域によっては模様がないものも)。開花時期は3月下旬~6月で葯は暗紫色。地上に葉を広げると同時に開花する。日中に花に日が当たると、花被片が開き反り返る。日差しがない日は終日花が閉じたままで、開花後は3室からなる果実が出来、各室には数個から20程の胚珠が出来る。地上に姿を現す期間は4~5週間程度で、群落での開花期間は2週間程と短い。このため、二輪草など同様に「スプリング・エフェメラル」(春の妖精)と呼ばれている。
かつてはこの鱗茎から抽出したデンプンを片栗粉として調理に使われていた。近年は片栗粉にはジャガイモやサツマイモから抽出したデンプン粉が用いられている。若葉を茹でて、山菜とし食べられることがある。鑑賞用の山野草として、カタクリの球根が販売されているが、日本各地の群生地では、春の開花時期に合わせて「カタクリ祭り」などが開催される。
カタクリは、かつては里山であれば簡単に見つけることが出来たが、現在はその姿を見る場所は少なく、森林の荒廃で笹などの別の草木に生息域を奪われた。場所によっては絶滅危惧種の指定を受けていて、植生地を整備することで守られている場所も少なくない。
私の知るところでは、大和葛城山(大阪府・奈良県)は、カタクリの群生地として知られ、ツツジの咲く直前の4月中旬~下旬に自然研究路周辺に多くの花を咲かせる。周辺は多くの登山コースが整備されているので、ロープウェイを使ってのんびり登山するも良し、ダイヤモンドトレイルを使って、ロングトレイルを楽しむこともできる。
「カタクリの花」にこのような歌がある。
作詞 笠木 透、 作曲 安達元彦
1.遠く山並みに 雪は残れど
やがて芽吹きの 山すその林
春になるたび きっと思い出す
嫁いでいった 君のことを
赤紫の カタクリの花
君に似ているね
やさしい花だね
2.山の畑には 誰もいない
野焼きの煙が 流れただよう
春が来たのに 別れだなんて
忘れはしない 君のことを
赤紫の……
3.近くハルゼミの 声が聞こえる
陽射しあたたか 萌えるかげろう
春だ 春なんだ それでも春だ
さびしくなるな 君がいなけりゃ
赤紫の……
【俳句】
◇「片栗の 花の紫 うすかりき」高浜虚子
◇「かたかごの 咲くや万葉の おもかげを」 山口青邨
◇「かたかごの 山の斜面の 日ざしかな」細見綾子
◇「かたかごの 花に入江の 汐騒ぐ」山口青邨
◇「日洽し 片栗の葉に 花に葉に」石井露月
◇「かたかごの 花や越後に ひとり客」森澄雄
◇「片栗の 花を咲かせて 山しづか」長谷川 櫂
◇「かたくりの 花に夕日の 端とどく」井上あい
◇「片栗の 一つの花の 花盛り」高野素十
【和歌】
◇「もののふの やそをとめらが 汲みまがふ 寺井の上の 堅香子の花」大伴家持
◇「をさなくて わがふるさとの 山に見し 片栗咲けり みちのくの山に」三ヶ島霞子
◇「妹がくむ てらゐの上の かたかしの 花咲くほどに 春ぞなりぬる」藤原家良
◇「かたくりの 若芽摘まむと はだら雪 片岡野辺に けふ児等ぞ見ゆ」若山牧水
◇「春雨の ふりつぐ中に みづみづしく 一日閉じたる かたくりの花」土屋文明
◇「日中(にっちゅう)を 通りつつ時折に むらさきそよぐ 堅香子の花」宮 柊二