「藤浪の 花は盛りに なりにけり
平城(なら)の京(みやこ)を おもほすや君」(万葉集・大伴四綱)
藤の花が波打つように盛りになりました。きっとあなたは、奈良の都のことを思って偲んでいることでしょうね。
大伴四綱は九州大宰府の防人の役人であった。老長官の旅人を慰めて詠んだものである。旅人はこの歌に続いて、わが故郷を思ってこう詠んでいる。
「わが盛り またをちめやも ほとほとに 寧楽(なら)の京を 見ずかなりなむ」
「わが命も 常にあらぬか 昔見し 象(きさ)の小河(おがわ)を 行きて見むため」
風にふかれて寄りくる浪のうねりを思わせると歌ったこの歌は、その姿の美しさもさることながら、やはり高雅な藤紫の色に魅せられる。
清少納言は「藤の花は、しなひながく、色こく咲きたる、いとめでたし」、と単純明快に藤の美しさを表現している。
「山吹の清げに 藤のおぼつかなきさましたる総て思い棄てがたきこと多し」、と兼好法師は、春の終りの情趣を綴っている。
「おぼつかなきさま」というのは、「ぼんやりとした風情」という歌意である。
「くたびれて 宿かるころや 藤の花」(芭蕉)
花言葉 「歓迎」「恋に酔う」「陶酔」
平城(なら)の京(みやこ)を おもほすや君」(万葉集・大伴四綱)
藤の花が波打つように盛りになりました。きっとあなたは、奈良の都のことを思って偲んでいることでしょうね。
大伴四綱は九州大宰府の防人の役人であった。老長官の旅人を慰めて詠んだものである。旅人はこの歌に続いて、わが故郷を思ってこう詠んでいる。
「わが盛り またをちめやも ほとほとに 寧楽(なら)の京を 見ずかなりなむ」
「わが命も 常にあらぬか 昔見し 象(きさ)の小河(おがわ)を 行きて見むため」
風にふかれて寄りくる浪のうねりを思わせると歌ったこの歌は、その姿の美しさもさることながら、やはり高雅な藤紫の色に魅せられる。
清少納言は「藤の花は、しなひながく、色こく咲きたる、いとめでたし」、と単純明快に藤の美しさを表現している。
「山吹の清げに 藤のおぼつかなきさましたる総て思い棄てがたきこと多し」、と兼好法師は、春の終りの情趣を綴っている。
「おぼつかなきさま」というのは、「ぼんやりとした風情」という歌意である。
「くたびれて 宿かるころや 藤の花」(芭蕉)
花言葉 「歓迎」「恋に酔う」「陶酔」