「古都逍遥 京都・奈良編」「花の詩」「日常のこと」や花や風景写真

 京都・奈良を中心に古刹・名刹や「花の詩」等の紹介。花や風景写真、オリジナルの詩、カラオケ歌唱など掲載しています。

花の詩「蝋梅」

2013年12月29日 21時37分29秒 | 古都逍遥「奈良篇」
 花言葉:「先導」「先見」「慈愛」「優しい心」

 四季折々の花を求めて写真におさめるのが私の何よりの楽しみ、というか趣味である。
 秋の紅葉が終わると、寒さも加わりインドア派となってしまうのだが、それでも山茶花は狙いたい被写体となる。その花も撮り終えると、南天や千両、万両といった赤い実がなるものを撮ることがあるが、やはり花が恋しい。
 白梅が咲き始める少し前、黄色く樹木を覆い尽くす「蝋梅」が咲くと炬燵で背を丸くしていた私の身体が、猫から犬へと変身し庭駆け回るがごとく、黄色い可憐な花を求めて繰り出していく。
 
 蝋梅(ロウバイ)は江戸時代に中国から渡来したといわれ、木の高さは約3mほど。極寒の葉のない枝の中途で花をつけ、梅に似た香りのよい黄色い花をうつむき加減にしおらしげに咲き、晩秋に卵形でこげ茶色の実が成る。
 花は径2㎝、色は外側の花弁が黄色で中心部は暗紫色ですが、ソシンロウバイ「素心臘梅(蝋梅)」は、中心部まで黄色です。山茶花、椿、水仙などと共に冬を彩る花のひとつで、花が蝋細工のような光沢と質感をもち、梅の花に似ていることからこの名前が付いたといわれ、また花が臘月(陰暦の12月/現在の1月頃)に咲くことからとの説もあります。

 俳句では冬の季語となっている。
 芥川龍之介は「わが裏庭のほとりに一株の臘梅あり。ことしも亦筑波おろしの寒きに琥珀に似たる数朶の花をつづりぬ。こは本所なるわが家にありしを田端に移し植ゑつるなり」と記しており、俳句に「臘梅や 雪うち透す 枝のたけ」と吟じている。

 「臘梅を 透けし日射しの 行方なし」(後藤比奈央)
 「蝋梅や薄雪庭を刷きのこす」(水原秋桜子)
 「蝋梅の香の一歩づつありそめし」(稲畑汀子)

 また、窪田空穂がこの花を好んていて、「全歌集」に散見される。
「しらじらと 障子を透す 冬の日や 部屋に人なく 臘梅の花」
「臘梅の 老いさびし香の ほのぼのと わが枕べを 清くあらしむ」

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花の詩「杏」(あんず)

2013年12月15日 23時42分32秒 | 古都逍遥「奈良篇」
花言葉:「はにかみ」「乙女のはにかみ」「疑い」(実)「気おくれ」

 杏はアーモンドや梅、李(スモモ)の近縁種だが、梅の果実は完熟しても果肉に甘みがないのにくらべ、杏は熟すと甘みがある。耐寒性があり比較的涼しい地域で栽培されている。春(3月下旬から4月頃)に、桜よりもやや早く淡紅の花を咲かせ、初夏に梅によく似た実を付ける。日本には古代に中国から伝えられ、万葉集には「杏人」の原文表記があり、またカラモモともカラヒトともモモサネとも読まれていて定かでない。


「ゆふ立に ふりまじりたる 杏哉」(正岡子規)    
「杏あまさうな人は 睡(ね)むさうな」(室生犀星)

 室生犀星は杏を好んでいたようで、次のような詩を残している。

【小景異情】 
その一
 白魚はさびしや そのくろき瞳はなんといふ なんといふしをらしさぞよ
そとにひる餉(げ)をしたたむる わがよそよそしさと かなしさと 
ききともなやな雀しば啼けり

その二
 ふるさとは遠きにありて思ふもの そして悲しうたふもの よしや
うらぶれて異土の乞食となるとても 帰るところにあるまじや
ひとり都のゆふぐれに ふるさとおもひ涙ぐむ そのこころもて
遠きみやこにかへらばや 遠きみやこにかへらばや

その三
 銀の時計うしなへる こころかなしや ちょろちょろ川の橋の上
橋にもたれて泣いてをり

その四
 わが霊のなかより 緑もえいで なにごとしなけれど 懺悔の涙せきあぐる
しづかに土を掘りいでて ざんげの涙せきあぐる

その五
 なににこがれて書くうたぞ 一時にひらくうめすもも すももの蒼さ身にあびて
田舎暮らしのやすらかさ けふも母ぢやに叱られて すもものしたに身をよせぬ

その六
 あんずよ 花著け 地ぞ早やに花著け あんずよ燃えよ ああ あんずよ花著け


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花の詩「睡蓮」(すいれん)

2013年12月01日 10時02分59秒 | 花の詩
 花言葉 「清純な心」

「朝光(かげ)のいまとどきたる沼に浮き
    黄の睡蓮の花びらが透く」(板宮清治)

睡蓮は私の好きな花の一つだが、私だけではなく、かの名高き画家・モネも睡蓮をこよなく愛し、大作を描いている。
 水面に小さな顔をもたげ、色とりどりの花たちが寄り添い、恋の季節を奏でるハーモニーは、モネでなくても心を引かれるものだ。

 「濁りたるままに明けくる水の色
     やがて開かん睡蓮ゆるる」(武川忠一)
         「文-四季 花めぐり」(小学館ウイークリーブック参照)

 ちょっと季節外れだが今回は睡蓮(水連)をご紹介しよう。
 スイレン属の学名Nymphaea(ニンファー)は、ギリシャ神話などに登場する水辺の妖精たちの名前といわれており、エジプトでは「ナイルの花嫁」と呼ばれて、水面に浮かぶ姿は清楚で可憐な乙女を思い浮かべる。また神聖な花として大切にされ、日暮れとともに閉じるその様は太陽とも重ねられていた。
 日本にも自生している種類が1種類だけ存在し、沼地などに白い花を咲かせており、未の刻に花を開くことから、ヒツジグサと呼ばれている。


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