米国とメキシコの国境に「壁」の建設を命じたドナルド・トランプ氏の大統領令だが、米国の輝かしい瞬間として記憶に残ることはあるだろうか? 壁を立てれば、(増やせば)不法入国をいくらか防げるだろうが、不法移民は防げるか? 経済は回復できるか?➡THE WALL STREEAT JOURNAL社説
中国の歴史上で、「GREAT WALL=万里の長城」と名がついた遺物がある。
始皇帝は中華を統一後に国内にある長城を取り壊すと、北に作られた3ヶ国の長城を修復・延長し、繋げて大長城としたのである。現在の万里の長城はこの時の長城から始まると言われており、歴代皇帝は北方を守るため、長城を新規に作ったり、延長したりした。
南方から興った明は元王朝を北方の草原へ駆逐しても、首都を南の南京に置いた朱元璋は長城を復活しなかった。長城防衛を復活させたのは明の第3代皇帝である永楽帝である。首都を遊牧民族の拠点に近い北京へと移した永楽帝は、元の再来に備えて長城を強化する必要に迫られ、北方国境全域において長城を建設した。
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この万里の長城はユネスコの世界遺産(文化遺産)に登録されており、新・世界七不思議にも選ばれている。
中国にはこれと似たようなものがもう一つある。万里の長城=GREAT WALLをもじってGREAT FIREWALLと呼ばれている。中華人民共和国本土(大陸地区)において実施されているインターネット情報検閲システムである。
中国のネット検閲システムを回避するために利用されている「仮想プライベートネットワーク(VPN)」技術をめぐり、最近、中国工業情報化省が全面的な規制強化を打ち出した通達が国内外で波紋を広げている.
中国では、フェイスブックやツイッターなどのほか香港、台湾、欧米メディアのサイトの大部分が閲覧できない。VPNは当局の検閲を回避する上でも定着している。➡弊ブログでも取り上げた。
中国当局が22日に出した通達は、インターネット接続の市場に「無秩序な発展の兆しがある」として、来年3月末まで国内業者の全面的な規制を進めると宣言。VPNについても、その使途を「内部業務」に限定すると明記している。
外資系IT企業の経営者は「これまでグレーゾーンだった検閲回避のためのVPNサービスを禁止すると明確に規定した」と解説。「通達は国内の無資格業者の取り締まりが主な狙いだが、国外業者も今後何らかの形でブロックしてしまうことはあり得る」と指摘する。
24日付の香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストは、「トランプ米大統領が国境に壁を築こうとしていることを多くの人が笑っているが、われわれは自分たちの『壁』が強固になってきたことに気づいていない」という中国のネットユーザーの嘆きを紹介した。←2月1日産経ニュース, SOUTH CHINA MORNING POST
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