戦争を題材にした映画は当然悲惨である。
幽霊を題材にした映画は「ゴースト」や「天国から来たチャンピオン」みたいに、ラストでじわーっときたりする。
その両方を題材にしたんだからこの映画は「さぁ泣きなさい」感が満載。 反則に近い。
劇場のあちこちですすり泣きが聞こえる。
小学生の民子(本田望結)が戦争に行った父の安否を尋ねるシーンでは、声を上げて泣いている方も。
長崎の原爆で子(二宮和也)を亡くした母(吉永小百合)が、幽霊となって出てきた子と会話しながら、戦後の厳しい世の中を生きていく。
子の婚約者(黒木華)の結婚話などがあったりして、話としては面白いし、戦争の悲惨さも伝わってくるし、役者も見事な演技なのだが、
なぜかしっくりこない。
理由を考えてみたらこんな結論になった。
1) 話(セリフ)が多すぎる
もっと映像で語ってほしかった。子の生前、母子で存分に話し合ったであろう内容を、幽霊になってから改めて話すシーンと、
母が子の婚約者に結婚を勧めるシーンはくどい。
2) いい人ばっかり
人間臭さがない。唯一、母のおじさん(加藤健一)だけが、人間ぽかったけど。
3) 吉永小百合がきれいすぎる
こればっかりはどうしようもないか。70歳とは思えん。
ネタバレだから書かないけど、ラストは予想どおり。賛否あるようだが、私はいい終わり方だったと思う。
この映画は、井上ひさしさんの戯曲「父と暮らせば」と対になっている。「父と暮らせば」は広島の原爆後の話。
原爆って本当に酷い。戦争を忘れがちな現代人にとって、このような作品はこれからも必要だと思う。