面と向かって「馬鹿」とか「アホ」なんてなかなか言えないものだが、ネットだとすぐに「馬鹿」発言をする人がいる。
10年前に出た「わしらは怪しい雑魚釣り隊」をようやく読んだ。
この本の中にも「ばか」という言葉が度々出てくるが、それは自分たちに向けて発していて、むしろ誇らしげに自らを「ばか親父集団」と称し、数々の伝説を作り上げている。
わしらは怪しい雑魚釣り隊 (新潮文庫) | |
椎名誠 | |
新潮社 |
椎名誠の本は、「人生ってこんな気楽でもいいんだな」といつも思わせてくれるが、この本もその例にもれない。
鯛だのヒラメだのが釣れると、「ばかやろう!ヒラメなんか釣りやがって、刺身にしかなんねえじゃねえか」と罵られ、ゴンズイだのヒイラギだのネンブツダイだの、軽んぜられて悲しい運命にある雑魚たちを中心に狙っているという時点でかなり怪しい。
しかし実に楽しそうなので、できれば仲間に入れていただきたい。
ここに出てくる親父たちもばかだが、読んだ私もばかだと思う。
先日NHKのニュースウォッチ9にみうらじゅんさんが出ていて、「Keep on ばか」であることの大切さを話していた。
みうらさんは駐車場の「空あり」の看板に般若心経の真髄を見出した。
「空」とは仏教の世界では実体のないものだが、それを「あり」というのは相当深い哲学が解かれているはずだと思ったらしい。
それ以来街の中の般若心経の文字、「般」「若」「波」「羅」などを見つけては写真を撮るようになった。
そのばかさ加減は産経新聞のこの記事にも詳しく書いてある。
今、みうらさんが集めたものが川崎市民ミュージアムに展示されている。
ばかなことをやり続けるのも実はカッコ良かったりする。