年末調整まっさかりです。
年々、仕事のスキルアップや昇給、業績連動のボーナスなど、
数字上の「収入」は確かに増えている実感があります。
源泉徴収票を見れば、基本給や賞与は確かに右肩上がりです。
でも、いざ生活実感を振り返ると、
「あれ?全然生活楽になってないじゃん」という
空しさに突き当たることはないでしょうか?
実は、これにはいくつかの理由があります。
- インフレによる「すり減る」お金の価値
物価が上がると、同じ1万円でも買えるものが減っていきます。ちょっとした外食や日用品の値段がジワジワと上昇すると、実質的な可処分所得は目減りします。結果、年収は増えても、毎日の暮らしはむしろ苦しく感じることになります。 - 累進税率と社会保険料のじわり増加
年収が増えると、税率が上がる累進課税制度の“洗礼”を受けることになります。「年収アップ=手取りアップ」にならない最大の理由がこれです。さらに、健康保険料や年金保険料などの社会保険料も所得が増えれば自動的にアップしていきます。皮肉なことに、努力して稼げば稼ぐほど、税金と保険料でごっそり持っていかれ、実質の手取りが思ったほど伸びない状態に陥ることになります。 - 投資は評価益が増えても可処分所得にはならない
「じゃあ、投資で殖やせばいいじゃん」と言われるかもしれません。確かに株式や投資信託、仮想通貨などで資産価値が増えれば「資産規模」は膨らんでいきます。けれど、それは、あくまでもそれは取らぬ狸の評価益です。
自分の証券口座には確かに評価額が増えた数字が踊っているかもしれませんが、それは現金化(売却)しない限り、生活費には回せません。日常生活をラクにする「可処分所得」とは異なる世界の数字ということになります。心理的な豊かさにはつながる可能性はありますが、冷蔵庫に食べ物が増えるわけでも、電気代を安くするわけでもない現実があります。 - 「豊かさ」を測る尺度の転換が必要?
「豊かになる=収入増」という図式が成り立ちにくい現代では、別の視点が求められるかもしれません。例えば、- 支出削減や効率的な生活導線の確立
- サイドビジネスや副業による現金収入アップ
- 税制優遇のあるNISAやiDeCoなどをフル活用
- 無形資産(スキル、人脈、健康)への投資
これらは短期的な実質手取りUPには即効性が薄いですが、長期的な豊かさに繋がる可能性があります。
また、「結局お金は可処分所得で見たほうがいい」という現実を踏まえて生活設計を組み直すことも考慮する必要があります。
評価益はあくまでも「用意された未来の可能性」にすぎず、今日の晩ご飯を豪華にするという現実にはなんの役にも立っていません。
まとめ:
年収アップは嬉しいけれど、インフレ・増税・社会保険料の増加が常に後ろから手を伸ばしてきます。
年収アップは嬉しいけれど、インフレ・増税・社会保険料の増加が常に後ろから手を伸ばしてきます。
投資で資産価値が増えても、まだ「手に取れぬ資産」です。
結局、生活を左右するのは「手元に残る可処分所得」であり、その手残りが増えない限り、豊かさは実感しにくいのです。
私たちは、こうした矛盾の中で生きており、「豊かさ」とは何かを常に問い直さなければいけないのかもしれません。
貨幣価値と絶望、そしてそれでもなお追い求める豊かさは、きっとどこか別の次元にあるのかもしれませんね。