以前読んだ、この著者の『火車』『理由』の社会派推理ものを時代小説に置き換えたものだろうとの予想は外れた。「殺された女性の魂が殺めた女性の身体に宿る」という『ばんば憑き』や「子供を殺すのに使われた木槌が化け物になって人を襲う」という『野槌の墓』など、短編6作が江戸時代の妖怪の話だ。が、当時の社会描写や庶民の語り口が面白くて引き込まれた。子供ら社会的弱者への視線と怨念、怨霊の世界は作者の描く今の社会にもつながるものだと感じた。
以前読んだ、この著者の『火車』『理由』の社会派推理ものを時代小説に置き換えたものだろうとの予想は外れた。「殺された女性の魂が殺めた女性の身体に宿る」という『ばんば憑き』や「子供を殺すのに使われた木槌が化け物になって人を襲う」という『野槌の墓』など、短編6作が江戸時代の妖怪の話だ。が、当時の社会描写や庶民の語り口が面白くて引き込まれた。子供ら社会的弱者への視線と怨念、怨霊の世界は作者の描く今の社会にもつながるものだと感じた。