今や正月の風物詩にもなっている箱根駅伝、これは2年前の第88回の実況解説である。だが、単なるレースの記録にとどまらない。第1章から第8章までのタイトル「波乱」「決意」「緊張」「激走」「苦闘」「戦略」「駆引」「歓喜」のとおりのドラマが再現されている。そこには選手の表情や息遣い、監督・チーム仲間の檄、観衆の話し声、沿道の歓声、見上げる空までもが映し出されている。中でも圧巻は往路最終の5区だ。登り・下り・急カーブの山道の力走、刻々と変わる沿道風景、早大・明大のデッドヒート、トップをいく東洋大・柏原選手がロングからアップになってのゴールイン。今年も箱根で待ち構えていた知人のK氏、彼が何十年も夢中になっているのが初めて分かったような気がする。