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翁長知事のこころざしを『主権なき平和国家』

2018年08月14日 | 読書

副題に<地位協定の国際比較からみる日本の姿>とあるとおり、在日米軍の事故・事件のたびに問われる日米地位協定が国際的にみた場合どうなのか。そこから独立国家とはとても言えない日本の姿を、そして私たちがとるべき道を教えてくれる良書だ。米軍基地が集中する沖縄で繰り返される米軍関係者による殺人・強盗・強姦などの凶悪犯罪が<平均すると、毎月1件を超えるペースで発生している。(本土復帰から2017年3月末時点の累計578件)>米軍のみならず軍属やコントラクター(米軍と契約の民間従業員)にまで及ぶ特権範囲はドイツ・イタリアなどNATO(北大西洋条約機構)、アフガニスタンなどの地位協定よりも拡大定義されている。刑事免責特権について、具体的な事例で諸外国が取り組んだ協定改定の経緯が説明されるとともに<米軍に世界で最も寛大な日米地位協定>と言い切る。頻発するオスプレイなどの米軍機事故、基地外でも日本においては警察権が及ばない。イギリスでは最初の現場検証はじめ事故調査を米英共同で行っている。このほか、<国外での軍事作戦に駐留米軍基地を使う><米軍基地従業員の人件費まで日本が負担>、<首都圏を含む一都八県の巨大な空域の航空管制が米軍で行われている>など、<「戦時」でも「準戦時」でもない「平時」の協定なのに他の国の地位協定と比べて断トツに日本の主権が不在>と問題指摘が続く。一方、日米安保でアメリカに守ってもらっているのだからやむを得ないという考え方には、アメリカ国防総省の極秘文書や国防長官の発言などを紹介<(米軍基地最大の目的は)アメリカ自身の世界戦略のためで、日本防衛というのはあくまでも副次的なもの><日本を防衛するためではなく、常に出撃できる前方基地として使用できること>。事実、<アジアや中東で行った軍事行動のほとんどで出撃拠点や兵站拠点として使われてきた>とも。そういうことで言えば、膠着状態のロシアとの北方領土交渉も返還された島に米軍基地が置かれる可能性がある限り、素人でも進展は難しいと思わざるを得ない。最後に示す筆者が考えた日米地位協定の改定案は、主権、基地の提供・管理権、刑事裁判権、国外への戦闘作戦行動など、どれをとっても<「半占領国家」から「主権国家」になるため>に当然の内容と思える。沖縄の怒りを体現したと伝えられる翁長知事が亡くなってまだ日が浅い。沖縄だけの問題としてではなく、日本全体の国民的テーマとして考えていきたい。