中山道を行き交う旅人の背景に描かれた富士山。江戸時代後期の浮世絵の一枚に地元鴻巣の吹上で描かれたものとして残っている。今、その景色は望むべくもないが吹上の水管橋のある荒川堤防上など、市内随所から遠く望むことができる。少し上流にある久下橋は熊谷市だが、自宅から車で15分ほどの至近距離。夕闇迫るころの富士と橋を渡る車のテールライトを写真に収めようとやって来た。狙いの富士山方向へ向かう車の流れは意外と少ない。待って漆黒の世界が広がり始めた頃、ようやく車の列。急いで数枚、思った通りには撮れなかったが近いうちにまた。帰りの車中、流したCDはもちろん『ヘッドライト・テールライト』(中島みゆき)。
(「国立国会図書館デジタルコレクション」より転載)