今年もあとわずか、テレビでは迎える正月準備の様子を映し出している。一方、昨年秋から続くガザの悲劇は終息の兆しが見えないまま2年目を越えようとしている。その連日の報道でも<ガザ住民の一人ひとりの日常生活と生の声伝わってこない>と、現地ジャーナリストのレポートを通して真の姿を伝える。今のパレスチナ社会では、住民の人的な喪失や建物の破壊以上にモラルの崩壊が起きている。ガザには木製の電柱が無いという。それを切って料理を作る薪にするためだ。窃盗の犯罪が蔓延、病院に置かれた遺体からのスマホや財布、靴さえも持ち去られる。そうした倫理とモラルの問題は、攻撃が終わっても未来に深刻な影響を与えるのではと危惧する。避難生活についても、雨が降るとテントの中が水浸しとなり、下水の水も入り込むので感染症と病気が心配。何も持たずに避難してきた子どもたちのために服が必要、食べ物を与えられない、飢餓の状態で息子を殺されたくない。子どもたちのためにも支援をと住民が訴える。そして怒りは、<未曾有の殺戮と破壊、屈辱を強いているのはイスラエル>だが、その引き金を引いたとしてハマスへも向いている。今回の契機となった昨年10月のイスラエルへの「越境攻撃」は「抵抗運動」ではない。イスラエルの占領だけでなく、ハマスの強権支配と暴走にも苦しんできた、と全てではないものの民衆の声も紹介する。確かに難しい問題だ。イスラエルが続けてきた「植民地主義支配・占領」を見過ごせと言うのか、「天井の無い監獄」と言われるガザの生活を受忍しなければならないのか。最後に著者は強く言う<「停戦」の実現が第一歩、ガザ住民の“生きる基盤”の再興、真の「ガザの解放」>さらに、<今の「ジェノサイドからの解放」でなく、問題の根源である「占領からの解放」がない限り、ガザの問題は終わらない>と。自分もそう思う。4万5千人を越えているガザ・パレスチナの犠牲者の7割が女性と子どもという。今朝の新聞で「冬の厳しい寒さで乳児3人が死亡―地中海沿岸の砂の上で避難のテント生活、気温の大幅な低下にも毛布が十分になく」と新たに「イスラエル軍による攻撃で38人が死亡」。もう、一刻の猶予もならない一日も早い停戦を。
(下記2枚の写真は本書より転載)
(「パレスチナ子どものキャンペーン」支援募金のチラシ)
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