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FM10「きよたき」 消防艇・FM「ぬのびき」型

2011-11-16 11:39:16 | 艦艇(自衛隊・保安庁・その他)

消防艇 FM01 ぬのびき 型
在来の木製小型消防艇に代えて、10隻整備された、海上保安庁第二世代の消防艇。「旧・ひりゆう」型消防船 、を補完し、10万重量トン級タンカーの火災事故にも対応しうることを念頭に計画された中型消防艇です。


放水銃を備えた赤い大きなマストが特徴。
放水能力は、4基の放水銃(各毎分2000~4000リットル)を備えています。
また、自衛噴霧装置や、油除去剤の散布装置も備えている。
解役が始まり、今後は、消防能力強化型巡視艇(PC51よど型)に、後を譲りつつある艇です。
船名は、「白糸の滝」「那智の滝」「華厳の滝」など、水に関する滝の名称のものから選ばれています。
解役された「よど」の「四度の滝」は茨城県の袋田の滝の別名である。

総トン数: 92t(旧)
満載排水量: 89t
全長: 23.0m
最大幅: 6.0m
深さ: 3.2m
主機: ディーゼル 3基 3軸うち2基は小主機)3軸 出力:1600PS(うち小主機500PS)

出力: 1600馬力
速力: 14.0kt
航続距離: 180浬
武器: なし
船質: 高張力鋼
航行区域: 平水
最大搭載人員: 12名

同型船
FM01 ぬのびき 昭和49年2月25日 神戸 200010.31(解役)
FM02 よど 昭和50年3月20日 鹿島 2002.3.13(解役)
FM03 おとわ 昭和49年12月25日 千葉 99.8.12(解役)
FM04 しらいと 昭和50年2月28日 名古屋
FM05 ことびき 昭和51年1月31日 岩国 2003.3.11(解役)
FM06 なち 昭和51年2月14日 徳山 2003.3.11(解役)
FM07 けごん 昭和52年1月29日 姫路 2003.3.11(解役)
FM08 みのお 昭和53年1月27日 大分
FM09 りゆうせい 昭和55年3月24日 室蘭
FM10 きよたき 昭和56年3月25日 門司

1960年代初頭、日本の原油輸入量は急増。その一方、大型化した石油タンカーは動きが散漫で、しかも海峡・水道の交通管理がほとんどされていなかったこともあって、石油タンカーによる海難事故が相次ぎました。特に1962年11月18日に京浜運河で発生した第一宗像丸とサラルド・ブロビク号(ノルウェー船籍)の衝突事故(付近航行中の船舶をも巻き込み、4隻が炎上、計41名が死亡)や、1965年5月23日に発生した、日本石油精製室蘭製油所(当時)におけるヘイムバード号(ノルウェー船籍)の衝突事故(28日間に渡って炎上)は、大型タンカーによる事故の危険性を再認識させる事態となってしましました。これらの炎上事故では、海上保安庁による消火活動も行なわれたが、独力での鎮火は不可能で、在日アメリカ軍のヘリコプターや民間船舶の援助があった。さらに、陸上の消防機関の化学消防車をはしけに搭載して接近させるといった、応急的で無理のある消火活動も行われた。そもそも、当時日本に在籍していた化学消火能力を有する消防艇は、その全てが50総トン未満の小型艇で、大型タンカー火災に対処できる消防艇は皆無に近かった状態でした。

こうした中、海上保安庁では1965年9月に化学消防艇設計会議(議長:山縣昌夫東京大学名誉教授)を庁内に設置し、学識経験者による設計会議の結果、双胴船型が適当であると答申を受けた。一方で、警備救難部長が中心となった調査団が欧米各国を視察したが、どの国も大型タンカー火災に対処できる大型消防艇を保有しておらず、むしろ炎上事故が頻発している日本こそ、大型消防艇を率先して建造すべきであるという結論も得られました。1967年9月、化学消防艇の艤装設備委員会が設置され、消防庁消防研究所・東京消防庁・海難防止協会などの関連機関による審議を経て、仕様書がまとめられた。1968年8月、これを基に1番船が日本鋼管に発注され、1969年3月4日に1番船「ひりゆう」が竣工しました。

その後、1970年3月に2番船「しようりゆう」が四日市に、1971年3月には3番船「なんりゆう」が下津に配属された。さらに、海上保安協会内の海上消防委員会(現在の海上災害防止センター)向けに2隻(「おおたき」、「きよたき」)が建造され、世界でも類を見ない強力な消防船が5隻も配備されることとなりました。しかし、1974年に起きた第十雄洋丸事件では、本型の「ひりゆう」「しようりゆう」「おおたき」が3隻がかりで消火活動に当たり、本型の設計が適切であることを示したものの、最終的には鎮火に至らず、第十雄洋丸の撃沈処分という結果になってしましいました。海上保安庁ではさらなる海上消防力の強化を図って、粉末ノズルと粉末消火剤を搭載した「かいりゆう」「すいりゆう」を追加建造し、新規に建造されたたかとり型巡視艇、ぬのびき型消防艇と共にタンカー火災に万全を期しました。

 


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