2015年にルーマニアのライヴハウス「コレクティブ」で起こった火災を発端に
次々発覚した政治や病院・製薬会社の腐敗を、赤裸々に映し出した珠玉の
ドキュメンタリー。火災現場に居合わせた人々は大火傷を負い病院に搬送されたが
手当てで治るはずの彼らは次々死亡。監督のアレクサンダー・ナナウは、この事実
を不審に思ったスポーツ紙「ガゼタ・スポルトゥリロル」の編集長を負う。
彼は内部告発者から、製薬会社と病院経営者が結託し、消毒液を薄めて使用していた
事実を突き止め、さらに政府関係者との癒着もかぎつける。
一方、報道で真実を知った市民たちは憤り、内閣を辞職へと追い込み、正義感あふれる
新しい保健大臣が誕生する。しかし・・・ルーマニアにおける大規模な医療汚職事件の
全貌を明らかにするドキュメンタリー主人公はタブロイド紙(スポーツ新聞)の記者
医療用の薬剤を薄めて納品していた企業の不正・中抜きから始まり、その企業経営者
の自殺(おそらく他殺)、大手病院の理事長の裏金問題など、本当にあちこち
不正だらけ保険相(大臣)が話していた通り、土台が腐っており腐臭を放っている。
どこか1つを改善すれば問題が消える、という簡単な状況ではない。
30年前、独裁者として君臨したチャウシェスク時代は旧共産圏だったので別の恐怖が
あったことは想像に難くないが、民主化したあとも皆が金の亡者となり不正の温床に。
この映画で扱った状況は、30年経ったその末路、ということなのだろう。
事件が明るみになり内閣が辞職したものの、その後の選挙で真っ黒な旧与党が圧勝
した。投票率は極めて低かった。無関心な国民がいた・・・
今の日本を垣間見た気がします(私だけだろうか?)昨年観た「minamata」には、
権力に対して非権力が闘う姿が映されていました。ドキュメンタリーである本作にも
同じ姿が映されていました。私達が本作の様な作品を鑑賞する意味はここにある
のかと思います
日本では今年、参議院選挙があるが、日本人はどうせまた自民党を選ぶ、と私は思っている。
選挙率が停滞したままで。コロナもある程度落ち着き選挙など行かないだろう。 ☆☆☆★