木原光威
純白に凍る
山本洋三「生」より
●
これは大変なことになりました。
この木原先生の作品の素材になっている詩は、ぼくの詩なのです。
実は、以前、ぼくが自分の詩を書いて現日書展に出品したことがあり
その詩に木原先生が注目してくださり
書いてもいいですかというお尋ねがあったのです。
いいですか、どころではありません。
ぼくの30年以上も前に書いた拙い詩を、木原先生が書いてくださるなんて
それこそ夢のような話です。
もちろん一も二もなく承知ということで
詩集を差し上げました。
この作品の前にぼくの詩を素材に何作がすでにお書きになっているのですが
この作品は、現日書展のために書かれた最新作。
この作品が、現日書展の入り口すぐのところに展示されているのを見たときは
感動で震えました。
ぼくの詩が素材になっているということなどは問題外で
作品そのものの美しさに驚愕したのです。
なんという白の美しさでしょうか。
何と言う線の複雑さでしょうか。
自分の詩をこういう風に作品化されることの幸せをこころから感じたのでした。
原詩全文を掲載しておきます。
生
空は青く
木の葉は緑であるという
恐ろしいまでの単純さと
空は
赤く燃え
紫に染まり
漆黒に輝き
木の葉は
黄に散り
紅に舞い
純白に凍る
という多様さとが
ぼくらの
生の
あり方だ
●
実にお恥ずかしい詩です。
けれども、この拙い詩の中から
「純白に凍る」だけ取り出して書かれると
自分でもびっくりするくらい、いい。
ぼくのどうしようもない詩が
命を与えられ、輝いている。
そんな印象です。
作者冥利につきます。
改めて、木原光威先生に感謝致します。
木原先生のブログもどうぞご覧ください。