田中冬二
水郷
半紙
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水郷
水にひかりがきれいにゆれる真菰(まこも)の中
鯰(なまず)をとらえる
よくあたまをたたき
胡麻油であげ 紫蘇の葉にのせてたべる
あかるい水郷よ
初夏のかげ しずかな水に濃く
藍のよい瀬戸物のような水郷よ
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年のせいでしょうか、田中冬二の詩のよさが分かってきたような気がします。
この鯰の天ぷら(唐揚げ?)おいしそうだなあ。
「日本詩人全集18 中勘助 八木重吉 田中冬二」所収の「田中冬二・人と作品」で、安東次男は、「水にひかりがきれいにゆれる真菰(まこも)の中/鯰(なまず)をとらえる/よくあたまをたたき/胡麻油であげ 紫蘇の葉にのせてたべる/あかるい水郷よ/初夏のかげ しずかな水に濃く/藍のよい瀬戸物のような水郷よ」といわれてみれば、鯰は、戸外は明るく乾いた初夏の昼下がり、そのようにして水郷でたべるのがいちばん美味のように思えてくる。」と書いています。