凡兆
鶯や下駄の歯につく小田の土
半紙
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「田のあぜ道を歩いてゆくと、おりからの霜どけで、泥土が下駄の歯にくっついて足をとられがちになる。そのとき、どこからともなく鶯の鳴き声が聞こえてきた。」(日本古典文学全集 42 近世俳句俳文集)
「小田」は「田」の雅語。地名ではありません。
今では、下駄もほとんど履かなくなりましたが、
下駄の歯についた泥って、なんだかうっとうしいものです。
そのうっとうしい思いも、霜どけの土となると、ちょっと春を感じて嬉しかったりする。
そんなとき聞こえてくる鶯の声。
優美な短歌の世界とはまったく異なる俳諧の世界ですね。