巻末にそれなりの数の参考文献が示されていますが、著者はそれらを
色々と組み合わせて、物語の中で使っているようです。
独ソ両軍がどうのように展開し戦闘が起きたのかを示すのには必要ですが、
主人公の少女が感じたことや考えたことも、さまざまな文献を参考にして書かれたので、
主人公のキャラクターに一貫性がないのでしょう。
参考にしている様々な文献は、戦後の長い期間に少しづつ書かれてきたものなので、
主人公の数年間の物語に、詰め込みすぎるとチグハグな感じになるのでしょう。
戦時中の上意下達の軍隊の中で、主人公がいろいろ独自に考えて行動するという物語の展開は、
焦点が絞れていないこともあり、不自然さが強く残るものでした。