東畑開人さんの一連の著作の今日的意義について
臨床心理学というと、これまで京大を中心に個人面接やプレイセラピーなどで
深い実践を行ってきましたが、そこで学んだ東畑開人さんが、
面接治療やカウンセリングどころではない状況や出自の方に関しても、
取り上げているというところが、今日的な意義として一番大きな点ではないでしょうか。
信田さよ子さんなどがこれまで日常の身の安全すら保証されていない人たちを
取り上げていましたが、それについては多くの臨床家が見えていなかったのが、
ある程度見えるようになったというのは、面接室に来るだけの余裕のある人達と、
それどころではない人たちが、ある程度重なってきたという社会的背景もありそうです。
東畑開人さんは、大学院を出てから本土より貧しい沖縄の診療所のデイケアに
数年勤めていたとのことですが、そのことも、著作に大きな影響を与えているのでしょう。