マチンガのノート

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「自閉症の脳を読み解く」 テンプル・グランディン リチャード・パネク

2014-05-06 17:28:18 | 日記
 著者のグランディン氏が、ピッツバーグ大学の学習研究開発センターの
ウォルター・シュナイダー氏から聞いた仮説として、
子供は生まれてから一歳になるまでの間に、乳幼児の発達の研究者が
言語的喃語と運動的喃語と呼ぶ二つの行動をするようになり、
一歳から二歳までに達する、一語文を話せる段階で、その二つが
神経学的につながるのだが、グランディン氏の場合、うまくつながらなかった
のではないかとのことだ。
自閉症、発達障害などでは、その二つのつながりがうまく形成されない
のではないかとのことだ。
 この部分を読んでいて思い出したのは、中井久夫医師が、エディプス領域以前での
問題について、マイケル・バリントが「Basic Fault」と書いているのを
「基底欠損」と訳した事を、山中康裕医師が「こころの科学」誌上で
「欠損」ではなくて「ずれ」ではないかと指摘しておられたことだ。
山中康裕医師は、ほかの治療者には真似のできないレベルで、自閉症児の治療が
できるのだが、表面的な会話や動きではなく、言語的喃語と運動的喃語をつないでいくのが
うまいのだろうか?
「魂と暴力(ユング心理学研究 第3巻)」に掲載されている渡辺あさよ氏の
研究報告でも、発達障害における「言葉とイメージのずれ」というのが
指摘されていた
マイケル・バリントは基底欠損領域での回復として、良性の治療的退行からの
「新規蒔き直し」というのを書いていたが(「治療論からみた退行」)
自閉症、発達障害での治療では、言語的、運動的喃語レベルでの関係を築くことが
必要なのではないだろうか?


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