マチンガのノート

読書、映画の感想など  

T-34 レジェンド・オブ・ウォー(2018年)監督・脚本:アレクセイ・シドロフ 出演:アレクサンドル・ペトロフ、イリーナ・スタルシェンバウム

2019-07-15 19:39:52 | 日記

本作では、人間のアクション映画のように、戦車がアクションをして、

撃ち合いをするというのが特徴である。

これまでになかった演出、作り方の映画である。

大きく重く、中に乗っている人には外が見にくい戦車を使って、

このようなアクション映画を作れるとは思わなかった。

カーアクション映画では、車はいろいろと動けても、車が銃や大砲を撃てるわけではないので、

こちらは戦車を使ったからこそ、独特の見ごたえのある映画になったのだろう。

宣伝の上から戦車二台を映した画像以上の躍動感のある映画になっている。

CGをうまく使った映画である。

主人公達の操縦するT-34に対して、ドイツ軍の3号戦車やパンサー戦車が相手。

主人公たちが望みのないような状況でも、結構冗談を言ったりしているところは、

ロシア映画によくある事なのだろうと思っていたが、

後から、「太陽に灼かれて」「12人の怒れる男」「戦火のナージャ」「遥かなる勝利へ」などを監督した、

ニキータ・ミハルコフがプロデュースしたことを知り、その影響も大きいのだろうと思った。

ロシア映画では史上最高のオープニング成績を残し、最終興行収入は40億円を超え、

800万人を動員したとの事である。

T-34がモスクワ攻防戦に投入されて、ドイツ軍の進撃を止めたことは、

いまでもロシア人に語り継がれているのだろう。

 日本では、10月25日(金)から公開。

ニキータ・ミハルコフの映画:ムービーウォーカー


「下種の愛」監督:内田英治 出演:渋川清彦 岡野真也

2019-07-13 21:45:07 | 日記

 

インディーズ映画に関わる主人公テツオ(渋川清彦)が偶然、

女優志望のアルバイト女性・ミナミ(岡野真也)たちと関わり、という所から始まり、

長く映画界に関わるプロデューサーの貴田(でんでん)や、

売れている監督(古館寛治)ともかかわりを持ち、ストーリーが

展開してゆく。

ミナミ役の岡野真也さんの、地味な女優志望のアルバイトの女性が、

売れていくに伴い、態度やたたずまいを演じ分けていくところが上手かった。

でんでんさんは相変わらず存在感があった。

 


街の人生/岸政彦 勁草書房

2019-07-06 23:17:20 | 日記

最後の章の釜ヶ崎へ来てから、ずっと土方をやっていた、と言う方の語りが興味深かった。

もともと終戦で大陸から引き揚げてきて、幾つかの職を経験して、溶接が上手かったので

それなりに余裕のある暮らしをしていたが、それまでになかったパチンコと言うものを経験し、

はまって借金を作って、釜ヶ崎へ来ることのなったとのこと。

それまでなかった依存性のある娯楽にはまったので、個人では対応が出来なかったのだろう。

土方と言うと、単純労働のような感じがするが、様々な事が出来る必要があるので、

不器用な人には無理な仕事との事である。

このような日本の復興を支えた人が、晩年に福祉マンションで暮らし、

最低限の暮らししか出来なかったことには、疑問が残る。

街の人生/岸政彦 勁草書房

 


21世紀の戦争と平和: 徴兵制はなぜ再び必要とされているのか 三浦瑠璃

2019-07-06 22:29:20 | 日記

美人×安全保障=EXILE?

徴兵制や軍隊などとなると、人から命令されて何かをやらされることに拒否感を持つ人たちが、

反射的に反発してきていることが、アマゾンレビューからうかがえる。

そんなに自分の事が大事なのだろうか?

それとも日常的に、自分が命じる側に立ってきたので、受け入れがたい事なのだろうか。

著者が「血のコスト」と言うように、軍隊や自衛隊などに行くと、死んだり重度の障害が残ったりと、

どれだけ報酬をもらっても割に合わないことに遭うことも多いだろう。

これまでは、原発作業員でも実態を見ず、建設作業員などでも多くの割合で使い捨てにしてきていたので、

それでは自らの命や体を危険にさらす人をどう位置付けるかについてが、

まだまだ議論されて来ていない事が大きそうである。

また、日本でも経済的徴兵制と言うものが何かと話題になっていたが、著者によると、

米国の貧困層には薬物依存や過度の肥満が多いために、軍隊に志願しても入れず、

米軍に志願して入れるのは、それなりに余裕があり公共心もある家庭の子供が多いとの事が

意外であった。

「21世紀の戦争と平和: 徴兵制はなぜ再び必要とされているのか」 三浦瑠璃


ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー :ブレイディみかこ 新潮社

2019-07-04 23:09:44 | 日記


移民×緊縮財政の結果について

本書では、著者の子どもに関する事柄を軸にして、様々な現在のイギリス社会の問題が

取り上げられている。

著者の子供は、小学校は、カトリックの学校に行っていて、

そこは中流のそれなりに経済的な余裕があったりする家庭の子供が多かったが、

中学校選びの時に、カトリックの中学へ見学に行くと、そこは前列に座る子供は

熱心に授業を聞いていたが、後方の子供は、スマホを見ていたりして、

進学実績を上げるために、能力の低い子供は無視されているようだったが、

以前底辺校だったところは、ひとりの生徒も取り残さずにするために、さまざまな

工夫をしていたので、そちらに子供を入れることにしたとのことである。

前者は停滞している印象だったが、後者は活気があったことが中学校を選ぶ時の

判断基準になったとの事である。

本書では著者の子供の周囲の事から、様々な家庭の経済的な格差や困窮、

それに起因する様々な偏見、人種差別、いがみ合い、軋轢、トラブルが取り上げられている。

その多くは、移民と緊縮財政が複合して起きているとの事である。

ただでさえ難しい移民問題と、緊縮財政が複合すると、それまで以上に、

様々な問題が起きてくることが、具体的に取り上げられている一冊である。

評価の低い公立学校にアジア系やアフリカ系が行くと、いじめの標的になることを警戒して、

アジア系やアフリカ系、ミックスルーツの子供の親は評価の低い公立校を避けるので、

評価の低い公立中学ほど、白人のイギリス人がほとんどを占めているというのが、

意外であった。