水の豊かな国は残りますか？

　この季節の農村風景は、水に浸されています。満々とした水の上に浮いているような風景に変わります。稲の苗が力強く田んぼの土に根付き葉が茂り始めるまでは、日本の稲作地帯は見渡す限り水の国です。家や畑や道は、水の上に浮いているようです。
　この水の豊かさは、私たちの感情まで潤いのあるものにし、しっとりとしたものを与えてくれているようです。このような風景がどんどん超近代的に変わっていくにしたがって、私たちの感情の微妙さにも、徐々に変化をもたらしているのではないかと思います。
　さらに、それだけではありません。よく見ると、自然の循環に大きな変化が起きているようにも思います。この季節にかぎらず、田んぼやその間を結ぶ水路や、池・湖・・・などが担っていた大きな保水力や自然の回復力が、失われていっていると最近になって警鐘が鳴らされるようになりました。水をあまりに人為的に操作するようになった結果です。コンクリートの水路があっても昆虫も小魚もそして水草も姿を消してしまいました。
　日本が飛躍的な経済成長をとげるまでは残されていたはずの、真に生き生きとした水の豊かさをとりもどしたいです。しかし、失われたものは、簡単には戻りませんね。失ったものが大きいことを、今になって思います。

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