北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【防衛情報】豪州AS-21レッドバッグ契約とチェコCV-90合同運営委員会,VCZキャスターサッパーとAMPV新型120mm自走迫

2024-02-05 20:24:35 | 先端軍事テクノロジー
■防衛フォーラム
 今回は各国の装甲戦闘車とその派生型に関する最新情報を纏めまして日本の89式装甲戦闘車や共通装軌車両の展開を考える上での参考となる点を89式の写真と共に考えてみましょう。

 スペイン陸軍はVCZキャスターサッパー工兵戦闘車の受領を開始しました。この式典にはマリアガルシア国防大臣夫人など要人も臨席し、スペイン軍待望の新装備導入を祝いました。VCZ工兵戦闘車は、スペイン軍が装備するピサロ装甲戦闘車の派生型でジェネラルダイナミクスランドシステムズサンタバルバラシステマス社が開発を担当しました。

 ASCOD装甲戦闘車としてオーストリアとスペインが共同開発した装甲車両の数多く提案された派生型の一つである工兵戦闘車型であるVCZは、設計から製造までをスペイン国内で実施し、装甲ドーザーや地雷除去と障害除去任務に渡河支援などを任務とするもので、今回納入されたのは6両、スペイン陸軍は2024年中に36両を調達する計画です。

 ピサロ装甲戦闘車、ASCODスペイン軍仕様は第1バッチとして2003年に契約された144両とともに2015年までに第2バッチとして117両が契約され、この117両は当初212両の調達計画であったものが予算不足で削減されたものですが、重ねて2023年内に改良型のVAC394両を揃えるバッチ3を計画していますが、VCZはバッチ2の車両でした。
■CV-90合同運営委員会
 国の運命を左右しかねない重要装備という事でどう縫うの進捗状況をしっかりとみているようですね。

 チェコ陸軍の特別委員会はCV-90装甲戦闘車配備計画の概要を決定しました。チェコ軍のCV-90装甲戦闘車導入は既に2023年5月24日にBAEシステムズヘルグランド社とチェコ政府およびスウェーデン政府との間で246両の調達が正式に契約されています、この導入計画はチェコ軍近代化の重要計画であり、特別委員会が設置されたとのこと。

 CV-90合同運営委員会と命名されたチェコ政府の特別委員会は半年に一回、進捗状況を報告する定例会合を招集しており、今回の会合はCV-90装甲戦闘車の正式契約が成立してから初の会合になったとのこと。特に今回導入されるのはCV-90にあって最新型のCV-90-MkⅣにあたり、またチェコは全契約金額の40%相当分を国内生産する見通し。

 22億ドル相当のCV-90調達において納入開始が2026年という計画であることから、ライセンス生産可能である部品とライセンス生産部品を担当する企業や最終組み立てと定期整備を行う協力企業などを業界再編さえ視野に製造計画を進めており、また今回の会合ではスウェーデンへ委員らが赴き、冬季運用能力の視察なども含まれていたとのこと。
■AS-21レッドバッグ
 自衛隊は35mm機関砲ですがAS-21レッドバッグは30mmで原型のKF-21が搭載する40mmよりも機関砲が小さくなっている。

 オーストリア国防省はAS-21レッドバッグ装甲戦闘車129両調達を正式契約しました。AS-21は韓国軍のK-21装甲戦闘車のオーストラリア軍仕様、この契約は韓国のハンファエアロスペース社の現地法人であるハンファディフェンスオーストラリア社との間で結ばれたもので、129両の調達金額は関連機材や予備部品などを含め24億ドルとなります。

 AS-21レッドバッグは戦闘重量42tでMTUアメリカ社製MT881-Ka-500ディーゼルエンジンを搭載し、武装としてエルビットシステムズ社製EOS-T2000砲塔を採用、Mk44ブッシュマスター30mm機関砲などをそなえます。原型のK-21は戦闘重量25tで斗山製ディーゼルエンジンとライセンス生産の40mm機関砲を備え、1両30億ウォンという。

 K-21装甲戦闘車を原型としつつ、オーストラリア軍の要求を全面的に取り入れたことで、取得費用はかなり大きくなっているAS-21ですが、採用選定においてはドイツのラインメタル社が提案した最新型KF-41装甲戦闘車との競争に競り勝ち制式化となる。今回調達されるのは129両、当初は450両の調達が予定されていましたが削減されました。
■新型120mm自走迫
 AMPV自体が凝った車両ですが迫撃砲は凝ったものとなるのか従来型の延長線上に車体に無難な迫撃砲を据え付けるのか。

 アメリカ陸軍が導入するAMPV多目的装甲車派生型に新型120mm自走迫撃砲が提示されるもようです。これはBAEシステムズ社が2024年7月に開催されるAUSAアメリカ陸軍協会2024年年次総会に新型の自走迫撃砲を展示すると発表したもので、陸軍ではXM-1287-MCV自走迫撃砲として採用予定、M-113派生型のM-1064A3を置き換えます。

 XM-1287-MCV自走迫撃砲は車体後部に開放式戦闘室を配置し、天蓋をひらいて120mm迫撃砲を射撃するという運用を想定していますが、BAEシステムズ社はこれとは別の画期的な迫撃砲を構想しているという。具体的には同社が2024年1月にもフィンランドのパトリア社よりNEMO新120mm迫撃砲搭載のコングスベルク社製砲塔を取得するため。

 NEMO120mm迫撃砲はフィンランドが独自開発した自動装填装置付き自動迫撃砲システムで、驚くべき点は間接照準射撃を行う砲兵装備であるにも関わらず行進間射撃能力を持つということ。対砲兵戦は射撃により砲弾が対砲レーダ装置に暴露した際の陣地変換速度が肝要ですが、行進間射撃は常識を根本から覆す高い生存性と火力を発揮します。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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