徒然なか話

誰も聞いてくれないおやじのしょうもない話

草枕 ~ 能 ~ シェークスピア

2014-01-15 23:30:02 | 文芸
 先日、BS朝日の「にほん風景物語」で、夏目漱石の「草枕」の背景となった熊本の水や緑、そして熊本市内から小天温泉までの「草枕の道」を、作家・文芸評論家の高橋源一郎が自ら辿りながらレポートしていた。
 僕は「能」に興味を持ち始めてから、「能」的な小説だと言われる「草枕」を、そういう視点から読み直しているところだが、何度か読んでいるのにとても新鮮な感動がある。
 最近、「能」関係の文献を読んでいて気づいたのだが、「能」と「シェークスピア」の世界の共通点について書かれたものを度々目にする。そう言われてみると、たしかに「草枕」にも「ハムレット」のオフィーリアの絵の話が出てくるし、シェークスピア作品からの引用は他の漱石作品の中にも見られる。「能」と「シェークスピア」の共通性に気づき、ともに題材として取り込み始めたのは漱石が嚆矢だったのだろうか。
 シェークスピアといえば、黒澤明監督の「蜘蛛巣城」は「マクベス」を、「乱」は「リア王」を下敷きにした物語だが、そのいずれにも「能」的な表現があるという。両作品とも随分前に観ているのだが、その頃はそんなことには全く気付かなかった。さすが黒澤監督、「能」と「シェークスピア」の共通性に気付いていたのだろう。DVDでもう一度見直してみたい。