徒然なか話

誰も聞いてくれないおやじのしょうもない話

那須山の想い出

2014-01-21 20:29:32 | 
 ちょうど30年前の今頃、栃木県黒磯市(現那須塩原市)の工場に勤務していた僕は、那須高原にある会社保養所の管理も担当していたので、多い時は週のうち3回は那須高原に登って、施設の状態をチェックしたり、常駐の管理人さん夫妻と打ち合わせしたりしていた。那須高原は冬は結構雪が降る。当時はスパイクタイヤが全盛の時代で、よほどのことがない限りチェーンを使うこともなかった。
 ある日、雪道で車を停め、困り果てている様子の親子4人連れに出会った。親父さんも大学生か高校生の男の子二人も、車の脇にチェーンを拡げたものの、どうしていいのか全く分からずお手上げの状態だった。聞けば、横浜からやって来たが、夏タイヤのままなので、もうこれ以上は無理だと、チェーンの装着を始めたのだという。それはさぞお困りでしょう、というわけで、僕とその日ちょうど同行していた施設補修の建築担当者と二人で代わりにやってあげることにした。実は僕もチェーンを装着したのはそれまでに2、3回しかなかったのだが、この建築担当者が車に滅法強い人で、実に手際よく作業を進め、あっという間に装着が終った。横浜の親子4人は何度も頭を下げながら目的地へ向かって発車した。車が走り去るのを見ながら、もし僕一人だったら、おそらく2倍も3倍も時間がかかったに違いないと、ちょっと冷や汗をかく思いがした。